ハンドメイズテイル侍女の物語 シーズン2 8話 「女たちの仕事 /Women's Work」【TheHandmaid'sTale】

2018/10/20

SF Simoom ハンドメイズテイル侍女の物語 ハンドメイズテイル侍女の物語 シーズン2 近未来

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あらすじ


2018年8月29日(水)~Huluでシーズン2 日本初配信 (全13話)
(アメリカ配信 2018年4月25日~)

(2018年8月29日(水)、毎週水曜日に1話ずつ追加配信予定)
 
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第8話 女の仕事

セリーナがレコードをかける。
デスクにはお茶と軽食。
フレッドの書斎でジューンとセリーナは作業に没頭していた。

MUSIC:Easy/The Commodores

       (YOUTUBE/The Commodores - Easy 1977 (Remastered audio))


 作業は決まって夜だ。

(世が世なら同僚になれたかも。でも、今は共に異端者だ)とジューンは思う。
(セリーナはとにかく楽しそう)

「仕事が恋しい?」
実際声に出しセリーナに訊いてみた。
「神の恵みが取り戻せるなら、ささやかな犠牲よ」
と応えたセリーナは、一寸考え
「編み物なんて大キライ...正直な話」と言った。

ジューンは原稿を捲りながら、「よく書けてる」と褒めると、
セリーナがジューンのお陰だと返した。

「この二段落を入れ替えて、冒頭に手を入れてもいいかも。
それで、朝には病院へ持って行ける」とジューンが言うと、
セリーナはもう持って行く必要はなくなった。
原稿はここで読むからと言われる。
フレッドが退院して戻って来るのだ。


フレッドの帰宅

屋敷の外に車が停まった。
フレッドが杖を突き出て来る。
一歩づつ、一歩づつ。
門の前で屋敷を見上げたフレッドは、感慨深げに言う。
「美しい。見慣れると忘れてしまう。これぞ、主の祝福だ」

その様子をジューンが窓から眺めていた。
エントランスにリタ、イーデンが順番に並ぶ。
セリーナが2人の立ち位置を慎重に直した。
セリーナに呼ばれ、ジューンはイーデンの横に立った。

「リタ、君の料理が恋しかった」と言うフレッド。
イーデンは贈り物を用意していた。
「司令官、これは私とニックからです」
「微笑ましいな。幸せな2人からの贈り物か。ありがとう」
最後にジューンの前に立つ。
「我らが神の奇跡よ。良かった。とても元気そうで」と言う。
「お身体が回復して何よりです」
「主に感謝を。これで、また仕事に励める」
セリーナが「そろそろ部屋へどうぞ」と言いフレッドとエントランスを出た。

ジューンも部屋へ戻ろうとすると、
イーデンが「あの贈り物はどうだったかしら?」と訊く。
「喜んでたわ」とジューンは素っ気なく返した。


書斎

書斎でセリーナは、デスクの上に準備してあった書類について説明をした。
「重要な会議以外はニックが延期させた。焦って復帰することないわ」
「君に危ないマネをさせた。本当に感謝してる。
これで、やっと君も普通の暮らしに戻れるな」

「カナダ訪問に向けて議題の草案を用意したわ。委員会で協議して」
「目を通そう」

フレッドは手招きしセリーナに部屋を出るよう促し、
扉を閉めた。


贈り物

ジューンが自室へ戻ると、
ベッドの上にオルゴールと白いバラが置かれていた。
蓋を開けると白鳥の湖のメロディが流れ出す。

(私もあなたと働けて楽しかった)


ニックとイーデンの住まい

戻ってきたニックに、
「この部屋をくつろげるように少し変えていい?」とイーデンが話し掛ける。
「私は黄色が好き。明るくて、元気が出る。”家が明るいと夫も幸せ”って母が」
ニックはただ、「君に任せるよ」と言うとまた外へ出て行った。

今にも泣き出しそうな表情でイーデンは独り佇むのだった。


セリーナの外出

ジューンとリタが買い物の打ち合わせをしている。
「蜂蜜もお願い。イーデンが持って行って...もう返ってこなさそうだから」
出掛けようとするセリーナにジューンが声を掛けると、
「アンジェラが病気なの。たぶん風邪だと思うけど。ナオミを手伝ってくる」
と言う。


買い物

スーパーへ行く途中、ジャニーンと一緒になったジューン。
挨拶すると、「フォースと共にあらんことを」と冗談で返され2人は笑った。

ジューンの体調を気遣うジャニーンは、
「もうじき一番面白い時期。お腹に赤ちゃんの足が浮き出てくるの。「エイリアン」みたいに。シャーロットのときもそうだった」と微笑む。
無言で俯くジューンにジャニ―ンは、「映画観てない?」と訊いた。
「続編のほうが好きだった」とジューンが返すと、
「変わってるのね」とジャニーンが言った。


スーパーに到着したジューンは、
品物を見定めるより侍女の姿を目で追っていた。
エミリーもいる。
アルマがジューンに声を掛ける。
「フレッドが退院した?」
ジューンは、残念そうな呆れ顔をしながら「主の憐れみに感謝を」と返す。
「身重で幸運ね」とアルマは言う。
2人の会話を聞いていたジャニーンが、
「今の家は最高。儀式だけでいいんだから。フェラがないの」と言う。
「ほんと神の祝福って感じ」と続けた。

「レイプは神の祝福じゃない」
通り掛かったエミリーが口を挟む。
「クソくらえ!あの爆弾こそが祝福だわ」
ジューンとアルマが周りを気にするが、エミリーはお構いなしで続け、
「ギレアドに与する人間は皆吹っ飛べばいい」と言い歩き去った。

ジューンは、エミリーの背中を目で追いながら心の中で呟く。
(セリーナを手伝った私も死ねばいいと言われるだろうか?
弁解は出来ない。
ギレアドに長くいると心が蝕まれる。
彼らの思うツボ。本当の自分がジワジワと死んでいく)

外でサイレンの音が響き渡る。
皆の手が止まり、一斉に外へと注目し、その場が凍り付く。
”乳児用救急車”のサイレンだ。
皆、跪き祈る。

「アンジェラだって。パットナム家の」
ジャニーンの近くにいたブリアナが言ってきた。
狼狽え取り乱すジャニーン。
ジューンはその手を取り、
「どこの赤ちゃんでも、無事を祈らないと。でしょ?」と宥める。
ジャニーンは落ち着きを取り戻し、再び跪いた。
 

帰り道でジャニーンが再び取り乱す。
「何故、あの子が病気だなんて言うの?」
興奮するジャニーンにジューンは、
「ちゃんと話すから落ち着いて聞いて」と道の端に連れて行った。
「赤ちゃんの具合が悪いのは本当よ。でも、どの程度なのかわからない...」
尚も興奮するジャニーンに手を掛ける”守護者”を強い口調で圧し止めるジューン。
そしてジャニーンに
「あの子がどんな状態なのか訊き出すから」と約束した。

別れ際、ジャニーンが赤ん坊に会わせてと言い出す。
「ムリ、あの子には会えない」と返したジューンは、
「あいつらみたいな言い方...」
とジャニーンに言われてしまうのだった。


アンジェラの容態

ジューンはオルゴールの蓋を開けジッと見つめる。
蓋の裏側にはハンナの写真が貼られている。

ノックがして、咄嗟にオルゴールの蓋を閉めた。
セリーナだった。

「良かった、それ見つけたのね」
「ありがとう。あの花もありがとう」
ジューンは、贈り物のお礼を述べた。

ジューンがセリーナにアンジェラの具合について訊くと、
「思わしくない。
原因がわからないの。医者も手を尽くしてるけど、どんどん悪くなる」
と言われる。
他の手立てはないのか訊いてみると、
1つ出来ることがあるかもしれないと言う。

「ただし法に反することだけど...
ギレアドが探し切れていない、治せる可能性のある医者を探すの」
ジューンは、セリーナの言葉を理解した。
ジューンは応えた。
「もし自分の子供が病気なら―、あらゆることをする。法に反してでも」


フレッドへのお願い

セリーナに体調を訊かれたフレッドは、
今日もいいが明日はもっと良くなると言う。
「アンジェラの方はそうは言えない」とセリーナは言う。

「でも、希望はある」と切り出し
「ギレアドには、主が遣わした一流の新生児科医がいる」と続ける。
それは素晴らしい、彼はすぐ病院へ?と訊くフレッドにセリーナは、
「彼ではなく”彼女”よ」と言う。
そして、今はマルタをしている、と告げた。
「一時的に派遣してくれれば、アンジェラを診て―診断を下せる。内密に」
セリーナが必死に頼むが、フレッドは首を縦には振らなかった。
「神の御心には逆らえない」


セリーナの決断

朝のキッチンでベンチに腰掛けるセリーナ。
ジューンは、一目見てフレッドの返答を読み取った。
「ダメなんですね。どうして?」
「それが彼の決断だから」

「私たちがアンジェラに出来るのは、祈ることだけ」
セリーナも悲痛の表情だ。

「あの子を産んだ侍女も耳にして――、取り乱してます」
「アンジェラを殺しかけたあの侍女?」
「絶望してたんです」と言いセリーナをしっかり見つめ、
「子供を愛してる。心から」

「どうにかして赤ちゃんに会わせてあげられませんか?
私が付き添う。おかしなマネはさせません」
「ムリよ」
立ち上がって出掛ける準備をするセリーナにジューンは言った。
「ジャニーンには最後のチャンスかも知れない」


パットナム夫妻

「あの女を?アンジェラに会わせろって?」
セリーナの話を聞いたナオミは、感情を露わにした。
セリーナは続けて言う。
「アンジェラは彼女からの贈り物よ」

ウォーレンがそこへ来る。
セリーナは同じように説明した。
「神はきっと彼女を温かく迎えるよう仰る」とウォーレンは応えた。
驚くナオミに、害はないだろと付け足す。
それを訊いたナオミは諦めたように病室へ戻って行った。


リディアの忠告

病院の廊下でセリーナの説得を待つジューン。
ジャニーンがリディアに付き添われ到着した。
「あの子は?」
「ウォーターフォード夫人が掛け合ってる」
「私にはあの子に会う権利がある」
興奮気味のジャニーンをリディアが座るよう促す。
ジャニーンは、リディアの言葉に素直だ。
リディアはジューンを睨み、その場を離れた。
ジューンがついて行くとリディアはジューンの行動を叱った。

「彼女がおかしくなったら、あなたも責任を取ってもらいますよ。いいですね」
「はい。リディアおば、覚悟してます」


面会

ジューンはジャニーンと共に病室へ入った。
病室はガラス張りで、真ん中に保育器のような赤ちゃん用ベッドが配置されてた。
中までは入れない。ガラスのこちら側から遠目に見守るだけだった。

それでもジャニーンは赤ん坊を「あの子本当に可愛い」とジューンに言う。
「きっとママと同じで巻き毛になる。
最初はイヤだろうけど。大丈夫だからね、上手な人にカットしてもらえば。
男の子たちを虜にするから」


女の医師

”守護者”に連れられ、マルタ姿の黒人の女が階段を上がってきた。
何故ここへ連れて来られたのかまだ聞かされていなかった。
扉から医師が出てきて書類にサインする。

「またお会いできて本当に光栄です」と男の医師は言う。
女は更衣室の中で、白衣を手に取る。
「覚えてないでしょうけど。
あなたは恩師の恩師で―、
2012年の産婦人科学会で講演されたときご挨拶したんです」
医師は更衣室の中へ向かって続けた。

「悪いけど、時間がないの。本題に入ってくださる?」とセリーナが口を挟んだ。
「患者は10カ月の女の子で3週間昏睡と嘔吐が続いています。
ph測定と嚥下検査の結果は正常ですが―、胃食道逆流の治療をしています」
「つまり...」と女医が言おうとするのを遮り、セリーナは、
「あなたの医師としての意見が訊きたくて呼んだんです」と言った。

女はわかったと言い、指示を出し始めた。
「まず、頭部のMRIを撮りましょう。それと、嚥下機能の再検査も」
放射線科は優秀?と男の医師に訊く。
「一応、検査に立ち会う。2歳まではレントゲンでの診断が難しいから。
血中アンモニア濃度と代謝異常の検査もする。
あと前進骨X線撮影に心電図、それに心エコーも」
「すぐに取り掛かります」
「それから――、患者を診察しないと」
医師は女に聴診器を手渡した。


診断結果

医師が隣の部屋のパットナム夫妻に結果を報告しにくる。
セリーナも一緒にいた。
ガラス越しに必死に表情を読み取ろうとするジューン。
リディアも同様だった。
リディアはジューンと、目が合う。
次の瞬間、ナオミが医師に食ってかかろうとし、ウォーレンが抑えている。
ジャニーンはその様子を不安げに見つめた。
セリーナは保育器の中のアンジェラを見つめる。

「”ハッキリ言っておく””あなたは私と楽園にいる”」
リディアが聖書の一節を詠み出す。
ジャニーンは皆の様子を見て、
「どういうこと?...そんな...まさか...ウソよ」と言い出した。
リディアはジャニーンにそっと寄り添う。

ジューンは、ジャニーンに訊いた。
「お別れのキスをしてあげたい?」
「できるの?」
ジューンは掛け合うことを約束した。


今できること

セリーナは走って、追いかけた。
女は階段を降り、帰るところだった。

「何故、諦めるの?!!」
「奥様、徹底的に検査を行ったんです。
身体の構造異常も感染症も代謝異常もありませんでした」
「この分野の第一人者のはずでしょ」
「ええ、そうです......そうでした。
今あの子の為にできることは、あの機械を全て外して、
抱いてやって安心させること。祈るんです」


入室

病室ではナオミがアンジェラを抱っこしていた。
入室を許されたジャニーンがリディアと共に殺菌された衣類に着替え、
中へ入った。
ジャニーンはナオミからアンジェラを手渡され胸に抱く。
「こんにちは。久しぶり」
ジャニーンは嬉しそうにジューンを見た。

その様子をジューンはセリーナと一緒に病室の外から見守った。

ジャニーンは、マスクを外す。
ナオミがリディアを見て、何か言いたそうだった。
リディアはそっとしておこうと言うように首を横へ振り同じくマスクを外した。
ジャニーンは、手袋を外してアンジェラを撫で始める。
「これでいい」と。
アンジェラの小さな手を取り、おでこにキスをした。


償い

夜になって、2人は帰宅した。
おやすみの挨拶を言い合い、
セリーナはジューンに「ありがとう」と言う。
「私の方こそ」とジューンは返した。

ニックが呼びにくる。
「司令官がお呼びです。2人を」
病院での一件だと直感したジューンにセリーナが、
「私が話すわ」と言った。


2人が書斎へ入ると扉を閉めるよう言われる。
フレッドはデスクに座っている。
セリーナはジューンと並びフレッドの目の前に立った。

「赤ん坊は名医が診たそうだな」
「でも、及ばなかった」
「名医がマルタだと聞いて驚いたよ。
一時派遣扱いだったとか。
派遣の指令書に私の署名があって更に驚いた」
「あの子を救う為だった。
ギレアドでそれ以上貴い務めがある?」
「夫に従うこと」
「何カ月も代わりに署名してた。あなたの同意を得た上で」
「これには、同意してない。
私の原稿を書き換えてたなんて。
君に頼んだのは橋渡しで代弁じゃない」
「前は、私に意見を求めてた。」
「今は違う」

杖を使い立ち上がったフレッドは、
一枚の書類を取り上げると、
ジューンに向かって、「これは、君の筆跡か?」と尋ねた。
ジューンは歩み寄り、
「そうです。司令官」と応えた。

「背信行為に侍女を巻き込んだのか?」と訊くフレッドにセリーナは、
「すべきと思うことをした」と返す。

「だろうな。悪いのは君じゃない。私だ。
君には到底支えきれない重荷を負わせた。
責任ある仕事はムリだったのに。償いをしなければ」
「償い?」
フレッドは、棚の中から一冊取り出す。
聖書だった。

「”妻たちよ””主に仕えるよう自分の夫に仕えなさい”
”同じように夫たちよ””妻を敬い自分よりも弱いモノとわきまえなさい”」
フレッドは聖書を詠みながら、一脚のイスを引き摺る様に引っ張り出した。
察したセリーナは、懇願する。
「フレッド、お願い」
「”罪を告白すれば””神は私たちを許してくださる”」
フレッドは、聖書を閉じるとデスクへ置き、
ズボンのベルトを外す。

セリーナはフレッドに呼ばれると、
諦めたようにそのイスの背に手を置き、ジューンを見た。
そして、腰から畳むように前かがみの姿勢を取る。
フレッドは小声で「どうか許してくれ」と言うと、
思い切りセリーナを鞭打った。

あまりの衝撃にジューンは目を閉じ身体も背けた。
「オブフレッド。行くな」フレッドはそう言い、
何度もセリーナを打った。


手紙の束

ニックが家へ帰ると、イーデンが待ち構えていた。
模様替えの具合をニックに訊く。
「どう思う?」
「いいね」
明日はカーテンを作ると言う。
「色を選んで。どれが好き?」と訊くと、ニックは黄色と応えた。
私と同じ、とイーデン。
「トランクの服も整理した。ちゃんと畳めばもう少し入るはず」
「ありがとう」

サイドテーブルに置かれていた手紙の束を見つけたニックの表情が変わる。
「これどうした?」
「片付けしてたら落ちてきた」
「読んだのか?」
「まさか」
「ウソをつくな」
「拾ってそこに置いただけ」
「二度と俺のモノに触るな」
「ごめんなさい」
「わかったか?」
怖い顔で詰め寄るニックに、怯えた表情のイーデンは
「ええ、もうしない。しません」と応えた。


傷ついた女

寝室へ戻ったセリーナは、ゆっくりと洋服を脱いでいく。
時にはベッドの柱に摑まりながら。
下着姿になり鏡に映す。
ミミズ腫れの跡を見て涙がこぼれた。

寝室の外では、ジューンが心配していた。
ためらいながらも扉をノックする。

「はい」
「ウォーターフォード夫人。何か要りますか?」
「いいえ」
「私にできることは?
...セリーナ」
セリーナは涙をグッと堪えて気丈に応える。
「あるわ。部屋へ戻って」


(ある人が言った。”男は女の嘲りを恐れ””女は男の暴力を恐れ”
迂闊だった。まだ、秘密の園は存在すると思ってた。
この世界の狭間に誰の目も届かない場所が、作れると思った。
美しく穏やかで安全な場所を。まだマシな場所を)


書斎の扉をノックしたジューンは、
フレッドに詫びた。

「遅くにごめんなさい。どうしても謝りたくて。
あなたの力になりたかった。でも――、ごめんなさい」
「わかってる」
「許してくれる?」
「もう、寝なさい。休むんだ。赤ん坊の為に」
そう言うとフレッドは扉を閉めレコードをかけた。

 MUSIC:Rain Sometimes/Penny Goodwin

            (YOUTUBE/Penny Goodwin - Rain Sometimes)


書斎の扉が閉まると、張り付けたようなジューンの笑顔は泣き顔へ変わった。
そしてそのままその場にへたり込む。

外は、雪が降り始めていた。


奇跡の朝

病室は陽の光で満ちていた。

パットナム夫妻は看病に疲れソファに倒れ込むように寝ていた。
リディアもイスに座ったまま寝ている。

”どうしてこんなに好きなのかしら♪””とにかくあなたと離れたくない♪”
”あなたがいけないのよ♪””会った瞬間私を虜にした♪”
”こんなことってあるのね♪””ただあなたと一緒にいたい♪”

目を覚ましたリディアは、歌声のするほうへ歩いて行った。

床には赤い侍女の服が脱ぎ捨てられている。
窓辺に下着姿のジャニーンがアンジェラを抱いて歌ってる。

”何処へ行こうと何をしようと♪””一瞬たりとも離れたくない♪”

リディアは奇跡を目の当たりにした。




元気いっぱいのアンジェラを抱きながら
ジャニーンは、「やっぱり。私を覚えてた」と嬉しそうに話す。

「何て可愛いの。ええ、そうよ。あなたよ。
どうか神の祝福と恵みがあなたにありますように。何て!可愛いんでしょう!
夫妻を起こすわ」

再びジャニーンは歌い出した。

”あなたがいけないのよ♪””会った瞬間私を虜にした♪”
”こんなことってあるのね♪””ただあなたと一緒にいたい♪”

 MUSIC:I Only Want to Be With You/Dusty Springfield

       (YOUTUBE/Dusty (True Stereo) I Only Want To Be With You HD)


かんそう

今回のサブタイトルは”Women's Work”。
”女の仕事”です。

ギレアドって男は男の役割があり、
女は女の役割があるっていうシステム?神の教え?
女医が居ないのはそういうこと?
なんか考えが古くさいねぇ~

男の方が断然自由だし好き放題してるよね。
(それも地位のある男だけなのかな)
とにかく女は耐えて耐えて、制限だらけで、男を支えてる。
キリスト教の教義っていうより、ギレアドを興した男たちが、
自分たちに都合イイように男尊女卑の社会にしたんだよね?
でも、このドラマの中で起こっている女性に対する虐待は全て、
現実でも起きてるというから怖い!
一概にフィクションで片付けられない。


フレッド帰って来ちゃった。あ~あ。
ジューンとセリーナ、いい感じだったのに。
”状況が違えば、同僚だったかも”って、ジューンも言ってたしね。
でも今回のアンジェラの一件で、ジューンとセリーナの絆は更に強くなった気がします。
必死な表情のセリーナは純粋で美しいですね。
ジューンのジャニ―ンに対する思いやりにもグッとくるものがあったし、
リディアの優しさもチラリと垣間見ることができました。

そんな、女の活躍が目覚ましい中、
最近のパットナムも物分かりのいいジジィに変化していて...。
(元々優しいおじさんだったのかもしれないけど)
前回のエピソードからいい仕事しますなぁ。

セリーナがやっつけられちゃって、ジューンも一瞬打ちひしがれてたけど、
シャッキーン!って何か閃いた表情でフレッドに謝罪に。
でも、そんな立ち振る舞いをしなくてはならない自分を嘆いてたような感じなのかな。

フレッドは自分はやりたい放題な癖にセリーナを咎めるだなんて
いい根性してるよなぁ。
本当にキライだよ!
きっと、セリーナもだよね~。


やっぱり女は女同士ってことで、男VS女という対決になって行くのかなぁ。
最後はセリーナを味方につけて、フレッドをやっつけちゃってください!


せっかく禁を犯してまで呼んできた名医までもが、手の尽くしようがないなんて...
一時はどうなることかと思いました。
最後のシーンは感動ものでしたね。
前回の自己紹介シーンと同じくらい。
母の愛が奇跡を起こしましたね。
機械を外して抱き締めてやれって言ったマルタの女はやっぱり宮本信子…
いや名医だったってことか。

こうなると、今後のアンジェラとジャニーンはどうなるのかな?!

それからイーデンとエミリー。
ジューンもニックも素っ気なくてイーデンちゃんかわいそ。
手紙、読んでしまったんでしょうかねぇ。
読んでたら元のトコに戻してると思うけど。
でもニックの本音を知ったらどういう出方をしてくるんでしょうか。
女の恨みは恐ろしいかんね~

エミリーはもう。キケンな発言ばかりでヒヤヒヤですよ。
また何かやらかしちゃう?
せっかく戻れたのに...。

カナダへ行ったエミリーの家族はどうしてるんでしょ~。

こないだの野球ネタみたいなのとかがないと、
すっかりSF&別の未来の話ってこと忘れっちゃいます。
今回ジャニーンが映画『スターウォーズ』」と『エイリアン』の話を出してきたくだりで、
あ!そうだ別の未来の話なんだよな、と思い出した感じ。
ジューンは、『エイリアン』は「続編のが好き」って返してて、
最初は続編って「2」のことかって思ったんだけど。
今回”女”の話だから、リプリーとエイリアンクイーンの母性対決がテーマだった「2」
なのかなって。
でもよくよく考えたら、あれって「コヴェナント」シリーズのことだよね。きっと。
だって、ジャニーンが
「変な人(You're nuts)」って言ってるもんね。

せっかく『スターウォーズ』ネタ出たのにルーク出てこなかったねえ...。


女の仕事は果たして、子供を産むことだけなのか、
それは「生産」なのか。
子供を抱き締めることは「仕事」なのか。

今回わりと幸せな展開になったので、(手前で軽く落として来たけど)
来週あたりまたドカンと落としてくるんではないでしょうか!
や~だぁ~(IKKO風)。


(イラスト&文:Simoom)

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