あらすじ
2018年8月29日(水)~Huluでシーズン2 日本初配信 (全13話)
(アメリカ配信 2018年4月25日~)
(2018年8月29日(水)、毎週水曜日に1話ずつ追加配信予定)
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第4話 愛人
ジューンの耳たぶに再び標が打たれた。幽閉されたその部屋は、薄暗くだだっ広い。
手の届かない高い位置に小さな窓が4つ並んでいる。
四隅に”おば”が座り、中心にベッドがあった。
ジューンの片脚は太い鎖でそのベッドに繋がれていた。
(以前、ラジオでブタのボールの話を聴いた。
畜舎で太らされたブタが―鼻で転がすボールの話のことだ。
それで豚の肉が引き締まる。ブタは好奇心が強くて考えるのが好き。
檻の中のネズミは自ら電気ショックを求める。
ベットカバーに描かれた花は71。
71だ。
ブタのボールがほしい)
選択
侍女の服を手にリディアが入って来た。リディアが”オブフレッド”と呼ぶ。
ジューンは「ジューンよ。私の名前はね」と拒絶した。
「ウォーターフォード夫妻が受け入れてくれるそうよ。お試しで。
あなたがいい子にすればそのまま暮らせるかも」
リディアは”オブフレッド”か”ジューン”を選べと告げる。
もしジューンを選んだ場合、このまま鎖で繋がれ、
お産まで過ごし、そしてその後処刑される。
しかし、オブフレッドには違う道があるというのだ。
ウォーターフォード家
「自らの価値を示して、自分の居場所を勝ち取って」リディアはジューンに念押しして屋敷へ入った。
リディアとジューンは暖炉の前に並んだ。
ジューンは頭の中で同じフレーズを繰り返していた。
(花の数は71。ベッドカバーに花が71)
リディアの手がジューンの頭を低くさせ、
姿勢を正す。
2人の前に現れたフレッドは、
ギレアドにテロ組織が入り込んでいて捜索に手間取ったが、
連中に誘拐された君を助けるために神は力を貸してくださった、と言う。
君も辛かっただろう、と。
思わぬ言葉に驚き、ジューンはリディアを見た。
次いで現れたセリーナが、
「主に贖われたモノは帰還する。主に感謝を」と、
フレッドの横にぴったりと並び2人は手を繋いだ。
リディアがジューンに挨拶を促すと、
「主に感謝を」とジューンが言った。
しかしセリーナは、ジューンの態度に反抗の色を読み取った。
脅し
(私は誘拐された。それで全てがまるく収まる。
夫妻は赤ちゃんを迎えられ、ギレアドは威信を保てる)
ジューンは再び元の部屋へ戻って来た。
窓へ腰かけ外を見る。
離れのニックの部屋が見える。
気配はない。
ヒールの音を響かせ、セリーナが入って来た。
そのままいきなりジューンの首を締め上げる。
壁に押しつけ尚も締めつける。
「92日間も!」
興奮し涙を押し殺し苦渋の表情のセリーナは、ジューンを暫し睨みつけ、
そしておもむろに手を離した。
部屋を出て行こうとするセリーナを呼び止めジューンは言った。
「忘れないで。私の子が無事なら―あなたの子も無事」
入浴
何をするにもリディアが着いて回る。入浴中のジューンにタオルを渡し、洗うべき場所まで指示をする。
「赤ちゃんにばい菌がつかないように」
ジューンは、股を開いて洗った。
リディアを睨みつけながら。
その夜、赤ん坊がジューンのお腹を蹴った。
朝食
「さあ、起きて」リディアがジューンを起こしにくる。リタも一緒だ。
リディアはリタにも喧しく指示出しをする。
リタは2人きりになると、ジューンに手紙の束を返した。
「リタ、待って。誰かから接触は?」
「関わりたくない。
夫人にバレたら?居ない間大変だった」
ジューンが下の階へ降りると、ベビーシャワーの準備が始まっていた。
キッチンではリディアが、ジューンのための栄養ドリンクを作っている。
ニックが横を通る。それを目で追うジューン。
そしてそれを、セリーナが見ていた。
ドロドロとした緑色の飲み物を渡される。
あまりの味に一口でジューンはコップを置いてしまう。
「もっと頑張れるでしょ」と再び勧められ、
一気に流し込もうとしたが全部吐いてしまった。
リディアに謝ると、
「作り直すわ。ビタミンが必要よ」とリディアは返した。
ベビーシャワー
居間の中央に円形に並ぶイスに青い夫人たちが座っている。周りには赤い侍女たち。
ジューンはそこから少し離れたイスに腰掛ける。
ここでもリディアがぴったりと張り付く。
夫人たちはシャンパン片手に贈り物を順番に広げはしゃいでいた。
「赤ちゃんが戻って来てホッとしたでしょ。幸せそうだわ」
「ありがとう。とても祝福されてる」と返すセリーナ。
「でも、妊娠初期が台無しね」
「私は早くお腹を蹴られたかった」と夫人の一人が言うが、
セリーナは「まだその時期じゃない」と返す...
「昨日、初めて蹴られた」
ジューンが発言する。
一瞬その場が静まった。皆がジューンに注目する。
リディアがジューンの肩に手を置き黙らせる。
セリーナも振り返ってジューンを見てから、何か言いたげにリディアに視線を移した。
「主に感謝を」と皆は楽し気に乾杯する。
司令官
男たちはクレー射撃を楽しんでいた。パットナムもいる。
「私まで誘ってくれて感謝するよ」と言うパットナムに、
「命を祝福することは皆の喜びだ」とフレッドが返す。
「だが、まさか来るとは思わなかったよ。そんな手で」
とクッシングが嫌味を言う。
クッシングはもうじきカナダへ行くと言う。
皆、カナダの内政干渉が気に食わないのだ。
フレッド家の心配をするプライスに、大丈夫だと答えるフレッド。
「みんなで祈ろう。無事に臨月を迎え出産するよう」
「主の御手で」
女たちと同様、皆で乾杯する。
セリーナの苛立ち
「彼女は強情だわ」と煙草をふかし、セリーナは憎々し気に言う。
「強い娘です。だから強い子が生まれる。
今は、お腹の子を第一に考えなくては。わかってますよね」
というリディアに
「彼女はわかってる?」と切り返すセリーナ。
「私がわからせます」と言ってリディアは、
セリーナの煙草を取り上げた。
「これは止めて、赤ちゃんの為に」
侍女
屋敷の階段に座り込んだジューン。通り掛かったアルマを呼び止める。
「あと一歩で?」とアルマに訊かれ、
「惜しかった」と応えるジューン。
「残念ね。みんなすごく動揺してた」
「メーデーの人が捕まってない?」
「連絡が途絶えたの。もう侍女を見限ったのよ」
そこへオブグレンが通る。
ジューンが呼んでも無視して行ってしまった。
オブグレンは石打ちを拒んだ罰で舌を切られたという。
思わずアルマの右手の火傷を見る。
それに気付いたアルマは
オブグレンは自ら声を挙げ拒んだからジューンの所為ではないと言う。
「彼女の件はね」と言い去って行った。
ジューンは再び深いショックを受けた。
儀式
組みひものようなものを両手に垂らした夫人たちが円形に並ぶ。侍女が夫人たちの間に立ち、垂れた紐の端を両手を交差して持つ。
真ん中にセリーナが入り小さなクッションが置かれた。
(恥知らずになりたい。恥を感じない程、無知になりたい。自分の無知さに気づかぬ程)
リディアに促され、ジューンは輪の中に入ると跪いた。
セリーナと手を重ねた上から紐で何重にも巻かれた。
「”隠された大いなる御業を見よ”」とセリーナが唱えると、
全員が「”数知れぬ不思議な業”」と続ける。
「”子供たちを私のところへ”」とセリーナ。
「”天の国は彼らのもの”」と皆で唱える。
「”子供たちを私のところへ”」
「”天の国は彼らのもの”」
MUSIC:Heyr Himnasmiður/Hildur Gudnadottir
(YOUTUBE/04 Hildur Gudnadottir - Heyr Himnasmiður [Touch])
ルークの妻(回想)
ジューンの前に黒人の女「アニー」が現れた。ルークの別居中の妻だった。
ルークから身を引いて欲しいと言うアニーは、
ジューンを口汚く罵った。
ジューンが家へたどり着くと、
ルークがケータイ片手に大きな声を出していた。
アニーの留守番電話にメッセージを吹き込んでいたのだ。
「話があるなら俺のところに来い!!彼女は関係ない!もう付け回すな!彼女には構うなよ!」
ジューンは怒鳴ったことを優しく諭し、ルークの別居は自分の所為だと話す。
弱気な発言をするジューンにルークは、
「やめろ、それじゃ彼女の思うツボだ。俺たちを仲たがいさせようとしてる」
と言う。
「彼女のことは忘れろ。俺達には関係ない。どうでもいいことだ。
俺たちは―結婚するんだから。君を幸せにする。約束するよ」
ルークはジューンを抱き締めた。
セリーナの怒り
ベビーシャワーが済み、静かになった居間には、セリーナ、リディア、リタ、ジューンがいる。
沢山の贈り物を見ながら和んでいた。
「いい会だった。贈り物がこんなに沢山」とリタが言うと、
「うちの子を甘やかさないで育てるのは至難の業ね」とセリーナ。
「ハンナのときも贈り物が多すぎて人にあげたわ」とジューンが発言すると、
セリーナの顔色が変わった。
一瞬、場が凍り付く。
「片付けましょうか。お手伝いします」
その場を取り繕うとしたリタの頬をセリーナは思い切り叩いた。
リタはよろめき壁にぶつかる。
リディアはジューンを外へ連れ出した。
フレッドの説得
怒りに任せたセリーナはフレッドの書斎へやって来る。ジューンを屋敷から追い出してほしいと言う。
「彼女はセンターで出産すればいい。その後は知らないわ」
それでいいのかと訊かれると、もう耐えられないと応えた。
「君は強い。臨月までの辛抱だ。
やっと、赤ん坊を取り返したんだ」と言って、セリーナの頭を両手で包み
自分と向き合わせ、
「君のお産だ。侍女に母としての経験を一つも奪わせるな。
君は素晴らしい母親になる。
大事なのは彼女じゃなく赤ん坊だ」と言い訊かせた。
ジューンの所為
散歩に連れ出されたジューンは、川沿いを歩いている。「夫人も辛いの。私だって辛いけど最善を尽くしてる。
あなたのようなふしだらな女を――再出発させようとして」
壁に吊るされた死体の前に立つと、リディアは言った。
「知り合いでしょ。
パンを配達してた運転手よ」
見上げたジューンは思わず倒れ込んだ。
オマールだった。
「彼の妻は侍女となり罪を償う。
息子は二度と母に会えない。彼は新しい親の元で育つの。立派な親の元で。
ギレアドが彼らに生き直す機会を与えた。
もちろん望んだ生き方ではないでしょう。
これはあなたが―、彼らに選んだ道よ。
あなたはなんて身勝手なんでしょう」
吊るされた死体を指差しリディアはジューンに誰の所為?と訊く。
下を向くジューンの顔を上げさせ尚も問う。
「誰が彼に罪を犯させたの?」
「私です...私です...」
「何故、神はこんなむごい事をお許しになったの?応えて。オブフレッド 」
「教訓を与えるため」
リディアはジューンを立たせると両手で頬を包み顔を覗き込みながら言った。
「”ジューン”に教訓を与えるため」
ジューンを抱き締めながら
「”ジューン”の所為。逃走して―、テロリストと共謀した。
”オブフレッド”は、彼らに誘拐された。
”オブフレッド”が咎められることはない。
”オブフレッド”に非はない。全て、”ジューン”の罪」と言い訊かせた。
オブフレッド
居間にはフレッド、セリーナ、ニック、リタ、リディアが集う。
燃え盛る暖炉をバックにジューンが跪き、懇願するのだった。
「司令官、ウォーターフォード夫人。
どうかあなた方のこの家に置いてください。許されるなら...お願いです」
ジューンの言葉を訊き皆の視線がセリーナに集中する。
「他に言いたいことはない?」とセリーナはジューンに返した。
「私は価値がない人間。本当に感謝してます。
全ての――、お心遣いに。お願いです。生き直すチャンスを」
「神はこの家に平和をお与えになるでしょう」とリディアがその場を締めくくった。
夜更け
セリーナがジューンの寝ているベッドへ潜り込む。背後から出っ張ったジューンのお腹を抱きしめ、
「”うまくいく””うまくいく””全てうまくいく”」
言い訊かせるように呟き、
「ママが愛してる」と言った。
セリーナが出て行くと、ジューンは起き上がり、
クローゼット潜り込んだ。
仰向けに寝たジューンは、柱のメッセージを指でなぞるが見つからない。
メッセージは消されていた。
(私の所為。私の所為。私の所為。私の所為。私の所為......)
思い出す、あのことを。
ハンナがまだ赤ん坊の頃。
ルークと3人カフェにいたジューン。
遠くから真っ直ぐにこちらを見つめる女がいた。
視線に気づいたジューンが目をやると、
アニーだった。
アニーはジューンと目が合うと
すぐさま出て行った。
(私は過ちを犯した。それはとても大きな過ちで、私を圧倒する。
私はつまらなくて愚かで価値のない人間。死んだほうがイイ。
ハンナにはこんな私を忘れてほしい。
私も私を忘れたい)
朝になり、中身のない人形のようなジューンは身支度し
出掛ける。
表に出るとニックが話しかけて来た。
しかしジューンは、「いい天気を授かった」と返すだけだった。
ニックが何度も”ジューン”と呼ぶが振り返らなかった。
MUSIC:Hate/CatPower
(YOUTUBE/CatPower-Hate)
かんそう
これは立ち直れない...ジューン...。前回までの逃亡失敗劇、展開的に何の意味が?と思ってたけど、
そう言うことかあ。
ジューンを徹底的にどん底に突き落とそうって事だったのね。
オマール一家...。
こんなにすぐに、こんなかたちで出て来るとは。
自分の所為で人が死んだ。無関係な家族の幸せが奪われてしまった。
これはもうジューンの心はポッキリでしょ。
希望を持つことすら許されない咎を背負ってしまった。
侍女になった奥さん。次出て来る時は、同じ侍女でもやっぱり敵としてなんだろうな。
絶対にジューンを許せないでしょう。
石打ち事件で、侍女同士の一体感みたいなものを感じたけど、
そうではなくなってしまった。
アルマもオブグレンも、ジューンの所為でxxxを負った。
思い返せばルークとのこともそうだ。
アニーからルークを幸福を奪ってしまった。
自分が何かすると、他の人が不幸になる。
もう何をすることもできない。してはいけない。
そう思っちゃうよね。
リディアはあの調子でずっとジューンに着きまとうのかなって思ってたけど、
ジューンが改心した最後には居なかったですね。
”改心”じゃないけどね。
精神崩壊。パンチドランカー。
人間関係が複雑になってきたなあ。
人が増えるばっかりで名前覚えるのが大変!
久々、パットナム出てきたし、嫌味を言ってたクッシング?
このキャラも初かな。
カナダ外交とかみたいだけど、もしかしてメーデー!?
そうそう、メーデーは?
侍女を助けるのを止めちゃったってこと??
今回の失敗が響いたのかな。
全てがどん詰まり感。
セリーナって敬虔なクリスチャンというわりに暴力が酷いよね!
(そういえば昔、勧誘してきたクリスチャン(男)が、
勧誘の最中に、足元に来た蜘蛛を見つけて
思いっきり何度も踏みつけたってことあったな。
一緒にいた友達とビックリして顔を見合わせたね)
出産経験アリ自慢ジューンに怒ってリタさんバチーンって
コントかよ!
リタさんご愁傷様。
ベビーシャワーの儀式ってば、これまたギレアドらしいね?!
組みひものようなモノが出てきたりして淡い光が差して
美しく怪し気な雰囲気?
そんな儀式の最中もセリーナのイライラが止まらないんじゃないかって、
もうあたしがビクビクしちゃいますよ~。
それに引き換えフレッドは落ち着いてましたね。
セリーナを慰めたりなんかして。
何と言うか、お前はそんなヤツだよな。
さあ、ズン ズン ズン ズンドコ (チャッチャッチャッ)に落ちたぞ。
どう這い上がる?
今回ばかりはさすがに難しい。
この感じだと、次回はまだ暗い暗い暗い暗い暗い展開だろうなあ。
やっぱジューンのこの精神状態を引き戻せるのは、ハンナかルークだよね。
ハンナは無理っぽいから、頼むよ!ルーク!
あんなかっこいいこと言ってたんだしさ!
(イラスト&文:Simoom)
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