ハンドメイズテイル侍女の物語 シーズン2  2話 「不完全女性/Unwomen」【TheHandmaid'sTale】

2018/09/08

SF Simoom ハンドメイズテイル侍女の物語 ハンドメイズテイル侍女の物語 シーズン2 近未来

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あらすじ




2018年8月29日(水)~Huluでシーズン2 日本初配信 (全13話)
(アメリカ配信 2018年4月25日~)

(2018年8月29日(水)、毎週水曜日に1話ずつ追加配信予定)
 

 

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前話、シーズン2(1話)はこちら

第2話 不完全女性

暗い闇の中、ハイウェイを一台のトラックが走る。
荷台にはジューンが横たわっていた。
時折すれ違うパトカーのサイレンに怯えながら...。

自由を手にしたジューンはしかし、あまりにも久しぶり過ぎて、
寄る辺なき自分の存在そのものを心許無く感じていた。

(ギレアドを出たらどうなるの?考えても無駄かも、きっと出口はないから。
ギレアドは無限の存在で自分の中に入り込んでいる。
主の霊のように。司令官のペニスのように。ガンのように)

MUSIC:Arca/Piel

                                     (YOUTUBE/Arca - Piel (Official Audio))


ボストン・グローブ紙_到着

トラックが行きついたのは、
どこかのビル...工場跡の搬入口のような所だった。

運転手の男に急かされ、ジューンは車から降り歩いて移動する。
戦争前から廃屋だったという。
ネズミにかじられていろいろと漏れ出さないよう、
男が週一で点検に来ているらしい。

「水もあるし、電気も使える。中にいれば安全だ」
荷物を運び終えた男は、ジューンに懐中電灯を手渡し足早に去ろうとする。
ジューンは男を呼び止め、これからどうなるのか尋ねた。

「俺は運ぶだけなんだ。ここは安全だ。何日か居ればまた会えるかもな」

外からヘリとパトカーの音が聞こえてきた。
慌てて搬入口のシャッターを閉め、真っ暗な建物の奥へ逃げ込む。
金槌が落ちているのに気づいた。ジューンはそれを拾い上げ強く握りしめた。


コロニー_女性失格者たち

荒れ果てた大地を掘り返す女たち。
汚染されたその場所は、何処までも広く、
土煙なのかそこら中が茶色く煙って見える。
監視役の”目”は馬に跨り、
ツバ広の帽子を被りガスマスクを装着したおばたちは、
片手に電気棒を携えて女たちのすぐ近くに立っている。
作業する女たちは素顔のままだ。

女たちの中にエミリーがいた。
疲れ切っている。
少し手を休めるだけで、おばから怒号が落ちる。
時には電気棒で突かれる。

シャベルで表面の堅い地面を掘り返し、袋に入れる。
繰り返す――永遠と――、
鐘の合図で跪き、頭を垂れる。
祈りの時間だ。
「”主に向かって歌おう””偉大で憐れみ深い主よ”
”罪人と娼婦は主の恵みで祝福される”
”娼婦は祝福される””偉大で情け深い主””主の祝福があらんことを”」


エミリー_警告(過去)

大学で教鞭を揮うエミリー。
授業中発言した女生徒に対し横やりを入れてきた男子生徒がいた。
授業後エミリーはその女生徒を呼び止め励ました。
「あなたは賢い。勉強家よ。男子の横やりなんか気にしなくていいから」
「大学院に進んだらマシになります?」
「いいえ、頑張るしかない。負けないで」

上司の男「ダン」から呼び出された。朗報があるという。
聞けば、来期からは講義をしなくていいから研究のほうに重点を置いて欲しいと言う。
朗報?納得できないエミリー。
教壇から引きずり降ろされることを幸運と思えるわけがない。

ダンは声を潜めて言う。
「警告だ」
生徒たちにとってエミリーは悪影響な存在なのだと。
エミリーが何のことか理解できずにいると、
ダンは更に小声で、
「シルビアたちの写真をケータイの壁紙にしてるか?」と訊いた。
「ええ...それが何?」
「軽率だったのかもな」
「つまりレズビアンをタブーとする時代が来たってこと?」

大学は攻撃の次のターゲットになるのを恐れているのだ。
そのために同性愛者を排除しようという動きがあるようなのだった。

「俺は――オフィスからポールの写真を片付けた」
「私たちの存在を無視させてはダメよ」
「差別なんて俺の世代で終わりかと思ってた。
君たちを羨んでいたのに」
「逆戻りね。来期も講義する。悪いけど」
「闘うのか...酷い世界だ」


コロニー_新入り

作業が終わると女たちは寝床に戻る。
薄暗いそこは、掘っ立て小屋という表現がぴったりだ。
錆びついたむき出しの階段があって、
寝台だけが並ぶ。
間仕切りなどあるはずもない。

エミリーは救急箱を持ち、病人を回る。
「今夜はこのまま乾かしてね。朝、包帯を巻こう」
「ありがとう。街一番のネイル屋さん」
「ネットで口コミよろしく」
爪の剥がれた女と冗談を言い合う。

熱を出した女に解熱剤を渡そうとするが、
もう水を飲むことも出来ないからクスリの無駄だと
付き添っている女に言われる。

エミリーが雪の降る中ミントの葉を取りに表へ出ると、
バスが到着する。
連行されてきたのは、青いケープを被った女だった。

「空いてる寝台を使って、夫人」
新入りの女は、身の回りの日需品をもらうと空いている寝台を探した。
古参の女たちの嫌がらせを受けながら一番奥の寝台に辿り着くと、
跪き祈った。
「神よ 惜しみない祝福に感謝します 善行をするための力をください」


ボストン・グローブ紙_大虐殺

ジューンは金槌を手に建物の中を歩く。

何もない薄暗い通路を進み重い扉を開けると、
そこはオフィスのような広いフロアだった。
ガラス張りで明るい。
フロアの真ん中の階段を、ジューンは降りてみる。
あちらこちらにモノが散乱していた。
一番下の階の奥の部屋は真っ暗だ。
電気をつけるとデスクがずらっと並んでいた。
それぞれのデスクに人の名残を見る。
家族や大切な人の写真、メッセージカード、
使ったままのコーヒーカップ、片っぽだけのパンプス
”フレンズ”のDⅤD。

更に進むと今度は新聞を刷る工場のような場所に辿り着く。
階段を降りるとジューンは目を見張った。
整然と並ぶ首吊り用の縄。
ジューンは思わず目を背けた。
階段を降り切ると、
涙を流しながらもう一度、周りを見渡す。
弾痕の残る大きな壁は赤い血で染まっていた。
その壁を触り泣きながら跪く。
さっきオフィスで見つけたパンプスの、もう片方が落ちていた。

扉の音が響き渡る。
誰かが入って来た!
我に返ったジューンは急いで物陰へ隠れ金槌を構える。
順番に扉の音がする。
どんどん近づいて来る。
人影がジューンを呼んだ。
ニックだった。
ジューンはほっとして金槌を落とした。

ジューンはニックに、すぐにここを出ようと提案するが、
外はキケンだからと反対される。
「君は妊婦だ。徹底的に捜される」
「ここで何が起こったか知ってる?
...大虐殺よ!」

ジューンをなだめるニック。
「そう焦るな。数週間で出て行ける」
「数週間?そんなに?」
しかし本当のところは、ニックもわかっていないようだ。
ニックにとっても初めてのことなのだ。
「俺は君とお腹の子を助けたいだけだ。
命懸けで来たんだ。言うことを聞け」
ジューンはハンナを取り戻すために北へ向かうと言う。
メーン州を通るのだと。
引く様子のないジューンに、ニックは仕方なく車の鍵を渡す。
銃も一緒に。
搬入口のシャッターを開け、ジューンは車に乗り込んだ。
車のフロントガラスの向こう側に立って
こちらをジッと見つめるニックと目が合う。
一寸、見つめ合った後ジューンは、
「クソッ!クソ!クソ!クソ!」と言いながらハンドルを何度も殴った。
ジューンが車から降りると、ニックは搬入口を閉める。
ジューンは銃をそばにあったテーブルに放ると、行き場のない怒りに任せ
激しくニックを求めた。


コロニー_夫人の罪

作業後、女たちは横一列に並び
手を洗っている。
新入りの夫人に隣の女が、嫌がらせで自分の剥がれた爪を置く。
見兼ねたエミリーがその爪を捨てる。

感染症を恐れ念入りに手を洗う夫人に、
「逆効果だわ。水が不潔だから」と助言する。
染みるけどよく効くからとアルコールを塗ってあげた。
そんなエミリーを見て夫人は医者なの?と訊く。
大学教授だったと知ると、
「私は大学の粛清には反対だった。
あんなの異常よ。教育を受けるのは犯罪じゃない。
法律が変わる前、美術額修士を持ってた。インテリアを学んだの」

しかし夫人はそのせいでコロニー送りになったのではなかった。
肉欲の罪で送られてきたのだった。

「愛してしまったのよ。きっと分かってくれるはず」と夫人は言う。
神は愛さえあれば許し必ずや自分をここから救ってくれると。

閉めかけた救急箱の蓋を開けエミリーは、
「抗生物質よ。古いモノだけどないよりマシ。水は大腸菌だらけだから」と言いクスリを夫人に手渡した。
「あなたは神の子羊ね」
夫人はエミリーに感謝し、
「なぜ親切にしてくれるの?」と訊く。
「ある夫人に親切にしてもらった。だからよ」とエミリーは返した。


エミリー_粛清(過去)

構内のガラス張りになった渡り廊下を歩いていると、外で騒ぎがした。
エミリーが下を覗くと、皆が何かを見ている。
それが何なのか確認しようと真下を見ると、
地面には”FAGGOT(ホモ)”と落書きがあった。
目の前の窓に太い縄が1本ぶら下がってるのに気づいたエミリーは走り出す。
建物から外に出る。
渡り廊下に首吊りの死体がぶら下がっていた。
上司のダンだった。


エミリー_ローガン国際空港(過去)

国外脱出のために人でごった返す空港。
エミリーもその中に居た。
恋人のシルビアと息子のオリバーも一緒だ。
チケット発行の窓口で、
アメリカ国籍のエミリーはカナダのビザが必要だと言われ、
大使館での発行を求められる。
家族が一緒ならビザなしでも出国可能と訊いていたエミリーは、
夫婦の証明書を係に渡す。
だが、証印が必要だとエミリーだけ仮の搭乗券を受け取り
別の窓口へ向かった。

係員の男はエミリーに「自分が産んだのか?」と訊き、
シルビアとオリバーには先に行けと言う。
「結婚してれば大丈夫だってさっき言われた」
と婚姻の証明書を見せるが、
「これは、無効だ。
この書類自体もう意味がない。結婚は無効だ」と言われてしまう。
何を訊いても「法律だ」の一点張りだった。
「横暴よ。上の人を呼んで。弁護士とも話がしたい」
立ち上がるエミリーを他の係が腕を掴み乱暴に座らせた。
その様子にただ事ではない事態だと感じる3人。

男は最初の質問を繰り返した。
「ご自分の卵子で?それとも胚移植で?」

シルビアとオリバーは出国した。
エミリーを残して。


コロニー_夫人の死

皆が寝静まった夜、便器にもたれ苦しそうにしている夫人。
エミリーが声を掛けると、
「ものすごく悪い...
こんなにすぐ――苦しくなるなんて、とにかく痛むの」
そう言うと、夫人は地べたに身体をあずけた。
「神の憐れみがある。神は贖い主。神は救い主」
祈る夫人に渡したクスリを飲んだかと訊くエミリー。
真上からから真っ直ぐ見下ろすエミリーを見て夫人は悟った。
「何をしたの?あのクスリは何?」
夫人は
「神が救ってくださる。神は見捨てない。
あなたは苦しむわ。永遠にもがき苦しむのよ」とエミリーを非難した。

「毎月あなたは――夫が女をレイプするのに協力した。
許されることじゃない」
とエミリーは言う。
「あと、2,3時間ね」と告げ去ろうとするエミリーを、
「この化け物!!何て...何て恐ろしい化け物!」と罵る夫人だったが、
苦しみと恐怖に
「エミリー...エミリー、一緒に祈って...」
とエミリーにしがみついてきた。
エミリーは、「独りで死んで」と冷たく言い捨てた。

朝になり皆が外へ出てくる。
青いケープを着た死体が十字架に張り付けられ晒されている。


そこへまた罪人を乗せたバスが到着する。
降りてきた赤い服の女...
ジャニーンだった。

エミリーが声を掛けると、
ジャニーンは嬉しそうに走ってきて抱きついた。
だが、すぐさま監視役のおばに引き離されてしまった。


ボストン・グローブ_追悼

ジューンは、見つけたDⅤDをパソコンで再生して観ている。
”フレンズ”。
口にしたカップを見てあることを思いつく。

小さな段ボールの箱を見つけると、まずカップを入れた。
それから、フロアにあるいろいろなモノを入れていった。
置物の人形や、野球の帽子、写真、メッセージカード、ぬいぐるみ、
以前この会社で働いていた人々の品々だ。
それらを持ってあの場所へ。
弾痕と血にまみれたあの壁の前でろうそくを灯し、
段ボールの中身を丁寧に並べた。
写真やメッセージカードは壁に貼った。
ドライフラワーも供えた。
あのパンプスは両足揃えて置いた。

(神よ 召された人々に 安らぎをお与えください
聖なる天使を ここに遣わしてください 主キリストによって アーメン)


MUSIC:Grouper/I'm Clean Now

                                 (YOUTUBE/Grouper - I'm Clean Now)


かんそう

エミリー出てきましたね~
でも、顔色悪すぎ!!
劣悪な環境が辛過ぎます。
まるで、ナチスの収容所のような...
夫人でも罪を犯すと、同じようにコロニー送りになるんですね。
元侍女たちと一緒にするなんて---!

そうそう、夫人を演じてたのはマリサ・トメイでしたね。
昔は、メリッサ・トメイって言ってた気がするけど、
”Marisa Tomei”だからどう読んでもメリッサじゃないよな。
でもマリサ・トメイだと「マリサト メイ」って日本名に聞こえない?
”マリサト”は「鞠里」?聞いたことないけど。
”メイ”は朝ドラ頑張ってる永野芽郁ちゃんの「芽郁」で、
「鞠里芽郁」
どう?アニメキャラみたい?
んー...マリサ・トメイといえばショートがキュートな「オンリーユー」かなあ。
お相手は、今や戦う起業家トニー・スタークでお馴染みロバート・ダウニーJr.
若い時の役と年取ってからの役があべこべな感じ。
久しぶりに見たマリサだけど、去年「スパイダーマン:ホームカミング」に出てたのね。
元カレのアイアンマンに対抗したか、って思ったらなんとロバダウも「ホームカミング」出てるのね。
「義母ムス」で久々共演の綾瀬はるかと佐藤健みたいな感じ?
佐藤健と言えば、朝ドラの「律」!いいよね。
って、「鞠里芽郁」と繋がったじゃん!スゴくない!?

あー...ちょっと寄り道しすぎた。
で、当の夫人はすぐ死んでしまって、「鞠里芽郁」ご退場です。ありがとうございました。
は~、エミリーどす黒かったぁ~
でも、最初から殺す気でいたとは思えないけど...
愛を語る夫人にむかっ腹が立ったって感じでしたね~

空港でのやり取りも怖かった!
無表情の係の男が同じ質問を繰り返すとこがね。
有無を言わさない感じが、ギレアドを感じさせたよねー。
そういえば、エミリーの上司ダンも脇役だけど、
よく映画で見かける俳優さんでした。
この人についてはあんまり掘らないけど。
これまたすぐ死んじゃった。
ゲスト探しも楽しみの一つですね。

ジューンは、やっと自由になったけど
まだ完全な自由じゃないしで
モヤモヤしちゃうって感じかな。
大虐殺の現場を目の当たりにして、
焦りと怒りとで大爆発でしたね。
車で出て行っちゃうのかと冷や冷やしたけど、出たらおしまいだよね。
ニックはとばっちり。大変っすね~。ね~。

そいえば、エンドロールに野球放送(音声)が流れてました。
レッドソックスがフェンウェイパーク(ボストンにあるレッドソックスの本拠地球場)で
95年ぶりに優勝をした時の音声。
ジューンがボストン・グローブ紙のビルに潜伏中、慰霊のため小物を集めますよね。
その時に野球の小物もいくつかありました。
やっぱ、アメリカと言えば大リーグ、ボストンと言えばレッドソックス。
95年ぶりに優勝をした時の音声ってことは、2013年までは平和だったのかなあ。
そこまでの含みはないのかな?どう思います?
我らが大谷祥平は、この世界で活躍したのかしら?


次回はジャニーンが大活躍?
はたまた
ジューンの逃走劇が観られるのか~

(あ、鞠里芽郁は「シビルウォー」から出てるみたいね)

(イラスト&文:Simoom)

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