あらすじ
DVの通報
ウィルという少年の通う中学校から、DVの疑いがあるとSVUに通報が入った。本人は認めないが、いつも痣を作っているという。
すぐに自宅を訪ねると、母親アイリーナが頭から血を流して倒れていた。
ウィルは前夫マークの子で、6歳の妹リアンは恋人ドワイトの娘だったが、2人は不在だった。
搬送されたアイリーナには頭部以外にも痣等があったが、突然倒れたとしか言わず恋人ドワイトからの虐待を認めなかった。
だが長距離輸送車の運転手をしていてウエストバージニアから来ていたドワイト本人は違った。
「地元じゃ妻を殴るなんて普通だ」
アイリーナへの暴力は認めたが、ウィルへの虐待にはとぼけた。
実父マーク
キャットがウィルの中学校に行って聞き込みをした。
ウィル本人はやはり虐待を否定し、あくまで友人との喧嘩だと嘘をついていた。
教師にDVの疑いを伝えたのは実父のマークだった。
マークは117分署の警官をしていて、ウィルを迎えにきた。
コロナ禍で家にいる時間が長くなるということは、加害者との時間が増えるという事でもある。
マークは、親権を争えばよかったと後悔しつつ、ウィルからは自分が話を聞き出すと引き取った。
新たな通報
虐待は本人が認めなければ起訴は難しく、オリビアはアイリーナにも認めさせようとしいたがアイリーナは頑なだった。
だがその言葉の端々では、ウィルへの暴力を隠している事が読み取れた。
するとまた通報が入る。
被害者はアイリーナだろうと、自宅に駆け付けるとバスルームで倒れていたのはドワイトだった。
死因は、感電による心停止。
電源の入ったドライヤーが浴槽に落ちていた。
通報者はアイリーナで、素直に事故とは考えられない状況だった。
アイリーナの供述
アイリーナには、マークの助言で弁護士トミー・カラブレーゼがついた。
事故を主張するが、アイリーナの供述はどこかふわふわしていた。
予定では子供達は揃って家にいるはずだったが、ウィルだけはマークの家に預けたままにしていたという。
何よりオリビアはアイリーナが、男性の弁護士の言いなりになっているのが気になった。
そして、カリシがリアンから昨晩はウィルが夕食を作ってくれたと聞き出す。
やはりアイリーナは嘘をついている。
マークとウィル
マークとウィルにもSVUに来てもらって話を聞いた。
ウィルは、マークの家にずっといたというが夕食の話を振ると口ごもった。
フィンは2人に誤魔化しはきかないと念を押した。通話記録など調べればすぐに嘘はバレる。
「アイリーナは、まずマークに電話をしたんじゃないのか？」
マークはそれには嘘をつかなかった。
「取り乱し、助言を求めて来た」
だがそれ以上を追求しようとするとウィルを守ろうと、話を切り上げる。
「そんなんだから訴訟を起こされるんだ」と嫌味を言って。
すると突然、ウィルが自白をした。
「僕がやったんだ！ ママが殴られるのを止めなきゃと思って」
マークはバカなことを、といい逆ギレした。
「汚い手を使いやがったな。弁護士を呼ぶ。もうしゃべらせない」
その頃、別室のアイリーナも同じようにウィルの容疑を仄めかしていた。
「私を守ろうと……」
だが弁護士が制止し、そこで切り上げた。
疑い
ウィルには、有能な弁護士ピッパ・コックスがつくことになった。
自供したウィルは起訴になるが、救うだけの証拠がまだない。
もしかしたらウィルがアイリーナを庇っている可能性もある、とオリビア達は捜査を続ける。
するとキャットがリアンの証言を聞き出した。
「パパはママとウィルに怒鳴った後死んだ」とはっきり言った。
だがアイリーンの弁護士は、幼いリアンの証言は無効だと取り扱わなかった。
新事実
カリシのオフィスにドワイトの妻だという、シェリーが訪ねて来た。
シェリーは妊娠していて、父親がお腹の子に会えないと泣いた。
「夫はいい人でした」
アイリーンはドワイトに結婚を仄めかされており、妊娠している妻の存在は知らなかった。
その事実を知り驚くアイリーンにオリビアは言う。
「あなたは騙されていたのよ。その上、あなたもウィルも暴力を振るわれた」
そして今、弁護士は未成年で罪が軽く済むウィルを犯人にしてアイリーンを助けようとしているが、カリシはそれを利用してアイリーンを脅した。
「ウィルが投獄されてもいいんだな。ではウィルを成人として起訴することにする」
ウィルの嘘
リアンの証言に対しても、ウィルは当時母親はいなかった、としか言わなかった。
ピッパはウィルの正当防衛を主張するが、ドワイトが入浴中だったとすると説得力はない。
それでも、ウィルは証言を変えなかった。
「本当のことを話すなら喜んで少年審判に戻そう」
「起訴はやめてウィルは脅されたのよ」
ウィルから聞く話ではやはり正当防衛は認められなかった。
裁判
裁判が始まり、医師の証言により、ドライヤーのコードと浴槽の位置関係から本人の事故とは認められなかった。
マークはウィルの容疑を認めつつ、正当防衛を主張した。
「いい子です。追い詰められなければ人を傷つけられない」
オリビアは、人気のない非常階段で1人待機するアイリーナと話をして確信する。
アイリーナはマークにも怯えていた。
ずっと男性からの圧力を受けて来て、それに従う事に慣れてしまっているのだと。
アイリーナはそんな自分に気づいていた。
アイリーナの証言では、浴室からドワイトがウィルを罰しようとする声が聞こえたと言った。
「ドアを開けた時には倒れていた。正当防衛なのは分かっていたけど、不安だったからすぐ通報できなかった。ウソをついてすみません」
カリシはドライヤーの状態を突っ込んだ。
ドワイトから罰せられる状態のウィルには、ドライヤーを電源に差して投げ込む隙はなかったのではないか？
なのに抵抗の痕もなく死んでいた。
「正当防衛ではなく、殺人を疑ったのでは？」
アイリーナは途端に目を伏せ、覚えていないと言った。
カリシはウィルを見るように言うと、アイリーナはウィルを見て言う。
「息子を守ろうとしたの」
するとウィルの表情がみるみる変わっていく。
「息子は何もしてない！」
「ママ、ダメ！」
「息子は殺してない！ 私が殺した！！」
自白
アイリーンの突然の自白はピッパも知らなかったようで、カリシ以上に驚いていた。
オリビアはウィルを理解しているようだった。
「ウィルは小さい頃からずっとそうやって母親を守って来たのだろう。
マークやドワイト。そして今はカリシ、あなたから」
その後、アイリーナの弁護士が誤魔化し続けようとする中、アイリーナは真相を打ち明けた。
子供達は揃って家にいた。
ドワイトの怒鳴り声がして、バスルームに行くとウィルがドライヤーを手に立ってた。
ドワイトはそれをあざけ笑い、あとで自分も含めて罰すると言った。
するとウィルがママに手を出すな、守ると言い出したので、それを制してアイリーナがドライヤーを投げていたのだった。
カリシは確認する。
「その時ドワイトはあなたに暴力を振るおうとしてた？」
「浴槽から立ち上がる前に止めなければ危険だった」
弁護士は、どっちみち正当防衛だと軌道修正しようとした。
どうせアイリーナを起訴してもウィルは自供を曲げない。
だがアイリーナが説得するといい、弁護士にはっきりとノーと言った。
これまでは男の言いなりになっていたが、今は違う。
「バカはよせ。このまま見逃してもらい、私に感謝しろ」
するとオリビアが我慢できず割り込んだ。
「その口の利き方は何？」
そしてアイリーナもひるまなかった。
「あなたを解雇する。これ以上指図されたくない！」
アイリーナは新しい弁護士をつけ、仕切り直しとなった。
ウィルの人生を守る為、自分の罪を認めた。
ウィルに対する起訴は取り下げ、アイリーナは過失致死罪に問われることに。
収監1年、3人にセラピーの義務という判決結果が出ると思わずドワイトの妻が叫んだ。
「1年！？ それだけ？」
フィン
ジョエルに起訴されたフィンの証言録取が始まっていた。
フィンの手順に落ち度はなく、ジョエルの訴えは厳しいものがあった為、ジョエルは心の叫びをするしかなかった。
「これだけは言える。アンドレには見せたくなかった。父親が撃たれ倒れる姿なんて！！」
賠償金の為、ジョエルはアンドレにも証言させた。
「ナイフを向けられても怖くなかった。パパだから。刑事さん、なぜ撃ったの？」
息子を愛しているから危害を加えるはずがない、というジョエルにフィンはレオンのようなケースを何度も見てきていると主張した。
「愛は関係ない。妻子を所有物だと思い、誰にも渡したくないからだ」
結局、ジョエルには市から200万ドルの賠償金が支払われた。
フィンは、ロリンズ、キャットとバーで飲んでいた。
その結果には3人共不満だった。
「世論を気にしたんだろう」
フィンは悔やんだ。
「仮釈放違反の時点で逮捕すべきだった。
警察は正義の味方だったのに、今は悪党扱いされている。
地元の連中は警察からひどい扱いを受けて来た。
俺はそれを変えたくて警察に入り、努力してSVUに来た。
敵は性犯罪者だとはっきりしてる。
簡単に黒人を撃つ警官にだけはなりたくなかった。
でもこのざまだ」
フィンのジョエル問題は長引きはしなく済んで良かったのですが、なんだかな～でした。
助けたのに訴えられるなんて、切ないどころかもうやる気なくなるよ。
アンドレのピュアな問いかけもキツイし。放って置いたらアンドレが死んでいたかもしれないのに、IFの話になっちゃうしね……。
なんか正義の味方って損だよな～とつくづく思う。
ドワイトとアリーナもジョエル達と同じDV問題でしたが、最初は正直「またDV？」同じようなネタが続くけど大丈夫？ って感じで見ていました。
でもSVUですもんね、さすが思いもしない展開に。
途中までは、ウィルがやったことを大人全員で庇うつもりなんだろう、と思っていたのですが、だんだん怪しくなっていき。
結局ウィルが母親を庇っていたという、なんていう愛。
これも切なすぎる。
なんでアイリーナはそんな提案を認めてしまったの？
いくら14歳で罪が軽く済ませられるとはいえ。
ぶちゃけアイリーナにイラついて見てました。
あとマークね。自分だけ安全地帯にいて余裕で見てる感じ？
つかそもそもDV分かっててウィル放置してた事に責任発生しないの？
ウィルの親ガチャ最悪過ぎて辛すぎるわ。
ただアイリーナは最終的に覚醒して、強い意思を持って罪を認めウィルを助けたから、言葉に違和感はあるけどハッピーエンドなんですよね。
でも見方を変えると、ドワイトの妻にとっては……。
そんな視点の複雑さがリアルで、2時間の映画を見たような重厚感がありました。
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