あらすじ
危険ドラッグ
17歳の少年同士が、縄張り争いで撃ち合い死んだ。
殺人課ではなく特捜班が呼ばれたのは、少年が扱うドラッグがカルフェンタニルという致死率の高い危険なものだったからだ。
フェンタニルの100倍の威力で少量で死に至る。
麻薬捜査課に任せていたが、その結果が2人の少年の死だった。
これ以前には過剰摂取で4人が死んでいる。
本格的に広まる前の解決を本部長代理がボイトに求めると、ボイトは裏の手を使う許可を得る。
ダリウス
ボイトはダリウスを呼び出した。
ダリウスはあまり気乗りがしない様子だったが、ボイトに詰め寄られると仕入れ先は知らないが、ブック・バーという若者が新製品を試している、とだけ教えた。
26歳のブックは犯罪歴が複数あり、死んだうちの1人の少年と幼馴染でもあった。
周辺に仲間はおらず、ほとんどが死んでいると考えられた。所属しているギャングも特定できない。
ダリウスと接触する為に、アプトンの情報屋を利用するが、アプトンには懸念があった。
プロの情報屋だが、捜査に介入したがる節があった。
情報屋
アプトンの情報屋はキャムといい、仕事を喜びすぐにダリウスとの仲介をセッティングした。
ブックは突然紹介されたアプトンを疑っていたが、食い下がらずにいると分かった、と取引きを承諾した。
ところが約束の日、ブックは突然予定を変える。
その場での取引きをせず、先に自分の相棒に会え、という条件をつけてきた。
特捜が監視する中、アプトンはブックが運転する車の助手席に座らされどこかへ移動する。
しばらく乗っていると、ブックが特定の車を追っている事が分かった。
アプトンは、自分達が強盗につきあわされているのだと気づく。
ブックが車に追突し、銃撃戦になる。
車の運転手は逃走し、ブックはその車に積まれていたドラッグを盗み始める。
アプトンは後部座席にいたキャムを助け出していた。
逃げた運転手は特捜班が確保した。
アプトンもブックに警察を名乗り現行犯逮捕しようとするが、ブックの様子がおかしいことに気づく。
ブックがブツを回収する時、袋が破けて大量に吸い込んでしまったようだった。
アプトンとキャムも近くにいたので吸い込んでいる可能性がある。
すぐにナロキソンを受け取り、アプトンはキャムと一緒にブックを救おうと注射するが、手遅れのようだった。
幸いにも2人の身体には害はなく、その場で解散となるがキャムは今後の捜査にも関わろうとするので、アプトンはクビを突っ込まないでと釘を刺して別れた。
結局ブックには仕入先がある訳ではなく、強盗していたと分かった。
ボイトらは引き続き、ブック以上の大物を捜す。
大物
逮捕した運転手があっさりとボスの名前を吐いた。
マッキー・カーター、大物だった。
Gパーク・ローズの一派を率い薬物取引きをしている。
ブックはマッキーの用心棒で、だから搬送ルートを知っていたのだった。
麻薬取締班からマッキーの縄張りの監視カメラのデータをもらうと、2日前の映像にブックとダリウスが映り込んでいるのを見つける。
ダリウスは最初から仕入先を知っていて黙っていたのだった。
ボイトとダリウス
ボイトは1人でダリウスに会いに行った。
「俺をナメるな」
ダリウスは監視カメラの映像を見せられると開き直った。
「仕入先を調べるのはアンタの仕事だろ」
「俺をからかうのはやめろ。後悔するぞ」
ボイトはその場でダリウスを逮捕し、ゲージに入れた。
するとダリウスは観念したのか本当の事を言い出す。
「マッキーは取引相手。時々縄張りを貸す。ブックには手を焼いていた。
マッキーを売るのは惜しい」
「マッキーが必要だ。差し出せ」
ダリウスが断ると、頼みじゃない、と強制する。
「従えば俺は死ぬ」
「俺に任せてくれ。安全を確保する。それが仕事だ」
そしてダリウスを解放した。
「俺達はもっとお互いに信頼すべきだ。でないと無意味だろ」
キャム
ダリウスにカメラと盗聴器がつけられた。
アプトンとジェイがダリウスと潜入の打ち合わせをしていると、そこへ突然キャムが顔を出す。
その時、ダリウスもキャムの顔を見ていた。
アプトンは慌ててキャムを遠ざけ、情報屋が署に来てはいけないと注意した。
「人に見られたわよ、どうやって中に?」
「うまくやったさ。君が何を言おうと捜査はやめない」
マッキーの情報を手に入れ、やる気満々のキャムにアプトンは危険だからしばらく街を出るよう言った。
「勝手に決めるな。これは俺の仕事だ」
ここまでの報酬は払うと言っても、納得していないようだった。
潜入捜査
その1時間後、潜入が開始すると、ダリウスは予定にない黒人のボディガードを連れていた。
不穏なスタートとなるがボイトは静観した。
ダリウスはマッキーのいる店に入ると、縄張りで4人が死んだ事でのクレームをつける。
関係ないというマッキーだったが、ダリウスはわざと盗ませ俺の縄張りに、お前のブツを広めたんだからお前の問題だ、と攻め込んだ。
そして解決法として、自分がカフェンタニルを買うと言い出した。
「冗談だろ!?」
小競り合いになると、ダリウスのボディガードがマッキーの手下に暴力をふるうが、ボイトはダリウスを信じようとそのまま続けさせた。
結局マッキーはダリウスの提案を断れず、明日取引きする事になった。
監視していたジェイはダリウスの手腕に「実権を握ってる。まるでボイトだな」と感心した。
キャムとアプトン
潜入の間にも、アプトンはしつこくキャムからの着信を受け取っていた。
仕方なく会いに行くと、最高の情報があると息巻いている。
「情報屋のダリウスが……」
キャムがアプトンの車のドアを開け話しながら乗り込もうとした時――。
キャムはアプトンの目の前で銃弾に倒れ、アプトンは返り血を浴びた。
応援を呼びつつ、アプトンは犯人を追い、駆け付けた警官に引き渡した。
キャムは即死だった。
アプトンはキャムを殺された怒りを抱える。
アプトンの怒り
犯人はA・J・フロレス。キャムが密告屋だから尾行して殺した、とだけしか言わなかった。
アプトンは、あの日ダリウスに見られた事が原因だろうと、フロレスにダリウスの写真を見せて詰め寄った。
だがフロレスとダリウスの接点は見つからず、証拠もなかった。
キャムとフロレスには、事件へのタレコミをしたという接点はあった。
誰もがダリウスは無関係なのでは、と言い出す中アプトンだけがダリウスを疑った。
「ダリウスは頭が切れる」
アプトンはまだダリウスを使うのか、とボイトにも詰め寄るが、ボイトはキャムには敵が多いとだけ答えた。
「証拠を失うかも」
「ダリウスがいないとカルフェンタニルを失う。今すべきことをする。他は後回しだ」
アプトンは黙るしかなかった。
取引き
ダリウスとマッキーの取引きの日。
遠くで特捜班が待機していた。
ボイトは今回もダリウスに一任していた。
アプトンはこのまま2人をまとめて逮捕したかった。
薬物でも30年は収監できる。
ダリウスがマッキーのブツを確認した。
だがボイトはまだダリウスに任せる、と様子を見ていた。
するとダリウスはマッキーの車に近づき、端末を近づけると追跡装置を発見する。
「お前、もしや警察とグルなのか? なぜ追跡装置を?」
マッキーは知らねえと慌てるが、ダリウスはマッキーを密告屋扱いし始める。
「密告屋じゃねえ」
「だったら標的だ! お前は盗聴されてる。パクられるぞ、逃げろ!」
「誰もいないぜ」
「車に乗ってにげろ!!」
ダリウスは金を持って1人先に逃げて行った。
そして戸惑っているマッキーは特捜班に逮捕された。
ダリウスは上手にマッキーには「もう1台は逃走していった」と思わせた。
真相
マッキーはダリウスの名を出さず、ダリウスの作戦は大成功だった。
だがアプトンだけは、殺人犯だと思っているダリウスの活躍による逮捕を喜べなかった。
ボイトはダリウスに会っていた。
作戦の成功を労うとともに、質問を投げかける。
「キャム殺しを指示したか?」
ダリウスは笑って言った。
「俺を下っ端の売人だ思ってるのか? 俺達は生き方は違うが同じ穴のムジナだ。
あんたが情報屋を欺いていると知ってる。守れるわけない」
だから情報屋の立場である自分もいつかは死ぬ。
「当然、キャムも知っていただろう」
ボイトが署に戻ると、ジェイがダリウスの件はどうするのか、と尋ねた。
「彼は役に立つ。今回も大勢救った。つまり、答えは1つ。
例の殺人事件にダリウスは関係ない」
アプトンは納得がいかなかった。
ボイトはアプトンだけをオフィスに呼んだ。
ダリウスの関与を信じ込んでいるアプトンに、どうかな、と言った。
信用できない事にはお互い同意した。
アプトンは自分の情報屋が殺された事に責任を感じている。
それを理解したボイトはどうして欲しいか? と聞いた。
「お前の望みを言え。怒鳴りつけて欲しいか? 慰めるか? ヘイリー。お前はいい警官だ。俺の決断が正しいと分かってる。たしかに彼の死はお前の責任だ。俺たちが取引きしてるのは天使じゃない。情報屋を信じるわけじゃないんだ。説明は必要ないな。これも俺達の仕事だ。俺たちは2つの世界をまたぐ。情報屋にも同じことをしてほしいと頼んでる。唯一の違いは、お前は警官でキャムは密告屋だった。だから彼の死は駆け引きの代償だ。お前が背負うべきもの。お前の責任だ」
アプトンはやっと落ち着いたようで、ボイトに聞いた。
「どうすればいい? どう背負えば?」
ボイトも考えて言った。
「俺にもまだ分からない」
かんそう
ダリウスとボイトの関係がいよいよ始まりましたが、まだダリウスの警戒が強いですね。
ボイトは最初からダリウスを信用しているような節が感じられました。
大分使えると思っているようです。
実際、大活躍だしジェイなんてボイトレベルだと言ってるくらいだし!
今回はダリウス紹介回? でもあり、アプトンと情報屋の関係のストーリーでもありました。
キャム殺しの真相は、正直私は良く分かりませんでした。
ダリウスは、「どうせ情報屋なんて捨て駒だろ?」(だからキャムが死ぬことなんて想定内で、誰が殺したかなんて大した問題ではない)と言っていると解釈し、ボイトもそれについては反論の必要がなかった。
でもアプトンはダリウスを犯人だと思い、その犯人を逮捕することでキャムへの弔い、償いとしようとしている。
その姿を見て、アプトンにとてのキャムは、ダリウスが言う「捨て駒」ではなかったと思わされた。
だったら尚更、アプトンは犯人逮捕に拘るよりも、自分で責任を背負うしかない。
……というお話だったのかな~と。
なので、犯人はダリウスでも誰でもいい、というか犯人が大事なのではない、みたいな?
結局キャムは自ら死に近い場所を選んでいた、という事ですよね。
実際今回はアプトンが街を出ろ、とも言っていたんですから。
それを聞かずに首を突っ込んでいた結果。
冷たいようだけど、誰に殺されようと自業自得ではありました。
キャムに限らず、情報屋を使い続ける以上、この負のサイクルは永遠に続くんですが、その責任の取り方なんて多分一生見つからないと思う。
それって責任の取り方が判明するよりもつらいことでは?
PDらしい、ボイトだからこそ語れるような渋いお話でした。
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