あらすじ
国立バレエ団に所属するデリアとブラッドのカップルが、施設内のスタジオXという内側から鍵のかかる場所で関係を持っている所を何者かに盗撮され、ネットに投稿される事件が発生した。
デリアはデビューを直前に控える新人だったが、流出が知れた為職場のバレエ教室をクビになりショックを受ける。
しかも、付き合い始めたばかりだというブラッドとはそれ以来連絡が取れていない。
オリビアはジムにいたブラッドと接触したが、何も知らず隠しカメラで撮られたと言った。
「他の連中もあの場所でヤってる。公然の秘密で、バレエ団の悪習」
責任者
オリビアはバレエ団の責任者アリスターに話を聞いた。
すると、アリスターはバーバの知り合いであることを強調し、若者の多い団内ではよくある事だからと舞台に影響のないよう事件を内密にして欲しいと頼んで来た。
事の重要性をあまり分かっていないようだった。
現場には、ブラッドの証言通り複数の体液等が残されていた。また、カメラが設置された痕跡はあったがすでに取り外されていた。
ポルノサイト運営会社
カリシとロリンズで投稿されたサイト運営会社に削除を頼みに行くが、担当者(ジョン・ウォーターズ)は表現の自由だと簡単には承諾しなかった。
カリシが令状で捜査できると脅すとすぐに態度を改めるが、削除には大した意味はないと言う。
「すでにネット空間に残り、再投稿が繰り返され加工版も出る」
とりあえず投稿者を特定する事に。
投稿者
投稿者のアドレスから犯人はブラッドの仲間のジェイソンだと判明した。
ジェイソンは乗っ取られたと否定したが、動画の送り主は友人のブラッドだった。
ブラッドは被害者ではなく、首謀者だった。
動画を確認すると確かにブラッドはカメラの位置を意識していた。
真実を知ったデリアは更にショックを受ける。
しかも、群舞のエドワードもグルだった。皆で動画を共有していたのだった。
多くのバレリーナが被害に遭っていた。
ベック、グレース、アシュリー……。
デリアは吐き気を覚えた。
余罪
エドワードとつきあっていたというバレリーナは、つきあっている最中に他の場所でも盗撮の被害にあっていた。
彼の両親の家、アリスターのデスク。場所はエドワードが選んでいたという。
他の被害者は、まだ投稿されていない動画であっても安心はできないと怯えた。
何故ならバレエ団にとって男性ダンサーは貴重な存在。
お咎めなしで守られる可能性があった。
それを裏付けするように、振付師のサーシャはオリビアに嫌味を言った。
「警察に拘束されたせいで男性ダンサーが3名来ない」
「事件を軽く見ている。状況次第では禁固刑になるわ」
「勘弁してくれ。3日後に初日を控えてる」
オリビアは代役を立てろと助言した。
取引き
ブラッドの母親は弁護士でブラッドとエドワードの担当になるが、特にブラッドを盲目的に庇った。
「サイトへの投稿は息子じゃない」
「仲間に動画を送ったのはE級の重罪」
「重すぎるわ! 軽罪のハラスメントよ。ジェイソンこそ重罪に値するわ。盗撮も拡散も彼が主犯よ。我々は捜査に協力する」
新事実
結局、軽罪を条件にエドワードとブラッドが証言をする事になり、ジェイソンを盗撮、拡散、リベンジポルノの罪に問う、とカリシがオリビアに報告した。
だがオリビアはハードルの高さを危惧する。
悪意を証明しても重罪になりづらいし、リベンジポルノは反対派のせいで適応されにくい。
しかしジェイソン自身がそこまで知らないだろうことを利用して、脅して新事実を引き出してみると、まんまと新情報を得た。
動画はサーシャにとってある種のオーデションだった。
彼が気に入った子を誘い、相手が応じたら動画を消去する。
そしてロリンズとキャットが、今回ソロをもらったティナというダンサーに確認して事実だと分かった。
サーシャからの誘いは断れないが、本人は同意の上だとレイプを否定した。
「私は選ばれたの」
2人はこのバレエ団ではレイプが日常化していると感じる。
「感覚がマヒしてる」
サーシャの行為はバレエ団内では有名だったが、同時に告発者もいない。
こういう現象はバレエだけではないだろう。教会、報道機関、映画業界……。
「誰もボスに逆らえない」
泣き寝入り
サーシャが捜査対象になったと知ったデリアは、降りる、と言い出す。
「相談しなきゃよかった。彼は振付師よ。何でも思いのままだわ」
サーシャとの会話からハドソンという他のダンサーの名前を知り、ハドソンにも聞き込みをするが、やはりバレエ団を敵には回せないと口は硬かった。
現役ダンサーは職を失いたくない為口を割らないので、退団者を探す事に。
退団者
摂食障害センターにいる、ローズをオリビアが尋ねた。
ローズはデリアの先生でもあった。
去年プリマに抜擢されたが、出演せずに1年前に退団していた。
その経緯はほとんどは、これまでの動画被害と同じだったが驚くべき新たな事実も判明した。
退団も摂食障害の原因もサーシャだった。
ジェイソンとの動画を見られ、プリマに抜擢された。
関係は何度もあり、強く口止めされていたが耐え切れず、アリスターに助けを求めた。
すると別の条件を出された。
それは性的人身売買だった。
毎年行われるパーティーのオークションで、プリマとのディナー権が出品されていたが、それはディナーだけではないのが暗黙の了解だった。
アリスターはそれに応じればサーシャから守ると言ったのだった。
「拒否権はなくもし断れば動画を流出させ、それを理由に解雇しバレエ界から追放すると脅されたの」
怖くてオークションに行けなかったローズは、その言葉のまま追放されていた。
潜入捜査
実際にはオークションに出ていないローズの証言だけでは弱い為、オリビアは現行犯逮捕を狙い、公演後のオークションにロリンズ推薦のカルドゥーンを潜入させる事に。
会場は、タバーン・オン・ザ・グリーン。
カルドゥーンはIT系金持ちに成りすまし、まんまとサーシャとアリスターに接触し、プリマのアシュリーを自由にする口約束を引き出した。
だが逮捕はアシュリーの同意を得てから、とカリシが止める。
「捜査に協力させるための交渉材料だ。気は乗らないが……」
そしてホテルのスイートに移動してから、ロリンズとオリビアが踏み込んでアシュリーを現行犯逮捕した。
アシュリーからアリスターとサーシャの関与を確認すると、オリビアはすぐに2人を逮捕した。
アリスターは後悔するぞ、と捨て台詞を吐いた。
デリア
オリビアは、ウエイトレスの職を見つけていたデリアに報告に行った。
アリスターとサーシャは禁固刑。ジェイソンも数ヶ月刑務所に。
動画の削除には尽力する。
ブラッドとエドワードは解雇され、不当解雇を訴えている。
「男性はダンサーは貴重。すぐ復帰するわ」
「今度はどうかしら? バレエ団が女性だけの芸術チームを雇った。頑張って欲しいわ」
オリビアはデリアに復帰はしないのか? と尋ねた。
「唯一の夢だった。
でも今は……。舞台に立つのが怖い」
動画拡散のトラウマは消えないようだった。
「この先、消えることはない」
デリアは涙ぐんだ。
バレエ団に限らず、パワハラ、セクハラがまん延している業界がある事への警笛が感じられるエピソードでした。
まん延してしまう理由には、ある種システマチックに成立してしまっている歴史があるという事がバレエ団から垣間見え、一筋縄ではいかない怖さを感じました。
被害者が被害者であることを認めないから事件にならない。
でもこうして長い悪習が日の目を見るようになっただけでも大進歩なんでしょうね。
悪事が公になる事で、少しでも正常化されていきますように。
それにしてもサイト運営者に映画監督のジョン・ウォーターズが登場したのにはびっくりしました。
一応役者としての活動もしていますが、珍しいと思いました。
やっすい感じのポルノサイトのスタッフっていうのがらしくもあって、ほんとにちょい役でしたけど面白かったです。
最初は、意味ある役なのかもと期待しましたが、最後まで見るとそうではありませんでしたw
でも逆にそんな贅沢な登場の仕方がまたまた「らしく」て良かったです。
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