あらすじ
金曜の夜
深夜0時のSVU。珍しく何事もなく仕事を終わろうとしていた所、立て続けに電話のベルが鳴り、同時に3件の事件が舞い込んで来る。
SVUが慌ただしくなるのはもちろん、そのすべてを担当しなくてはならないカリシが一番忙しなかった。
家庭内DV
家庭内DVを担当したのはフィンだった。
妻ジョエル・フラーはDVにはありがちだが、捜査には非協力的だった。
夫レオンは別居中で、住所不定のトラック暮らしをしており、逃走中。
7歳の息子アンドレが通報した。
「ママが死ぬと思ったんだ」
レオンのトラックを発見し、即逮捕した。
妻のせいにしつつも、暴行そのものは認め、自供したも同然だった。
ところがジョエルがレイプ検査を拒んでいた。
カリシは、息子の通報記録以外の証拠を求めた。
罪状認否まで時間がなく、手一杯のカリシをオリビアが手伝う。
カリシは妻に協力させろというが、オリビアは拒否した。
「ジョエルは怯えてる。911の通報だけで起訴できる」
「俺を悪者にしてもいいから説得するんだ!」
カリシはつい大声を出していたが、即座に謝った。
オリビアはジョエルに会いに行った。
「起訴を望んでいない。離婚できればそれでいいの」
ジョエルは被害の公表も拒んだ。
「利点は何?」
「この状況から抜け出せるわ。息子さんもよ」
しかしジョエルは息子の事は心配していないようだった。
「こんな家庭で成長させたいの?」
「何も知らないくせに」
オリビアは通報時の録音データを聞かせた。
「パパやめて! ママが死んじゃう!! お願い早く来て」
ジョエルは耳を塞いで苦しみ、やっと認めた。
「指示に従うわ」
配車アプリ暴行事件
ハディード主任と同級生だという母親から、直接オリビアの携帯に連絡が入り、オリビアとロリンズはクーパー夫妻の家を訪ねていた。
娘クロエが配車アプリ「ヘイルミー」を利用して、運転手モハメドにレイプされたと訴えている。
押しの強い夫妻から遠ざけるようにして、オリビアがクロエの話を聞いた。
「パンクしたと車を止め、後部座席に。逃げて老夫婦に助けを求め家に電話した。
靴を車の中に忘れた。ここで死ぬと思った」
すぐにモハメドをレイプ未遂で逮捕するが、それは誤認逮捕だった。
モハメドの携帯には予約したクロエを乗せず、キャンセルしていた記録が残っていた。
それどころかその時間に別の客を乗せていた。
クロエは面通しまでしてモハメドだと認めていたのだが、混乱していたようだった。
カリカリしたカリシは、ついロリンズに当たった。
「無実の罪で拘留されてるサイードの身になれ。俺は主任との板挟みだよ」
「自分で蒔いた種でしょ。検察の人間になれば政治的判断を求められる」
カリシがクロエより上司を気にしている事をロリンズは指摘するが、カリシは同時に3件も発生しているストレスを訴える。
「こっちも必死よ。でも手一杯なの。あなたが抜けたせいでね」
ロリンズはパートナーに見捨てられた心細さを訴えるとカリシは驚いた。
「賛成したのが本心と思った? バカね」
その後、ロリンズはクロエがいた店の防犯ビデオを入手した。
そのビデオからクロエが乗ったのは別会社の車だったと判明する。
ナンバープレートから所有者を判明。アディシュ・パテル。
車にはクロエの靴もあった。
だが所有者は63歳。クロエは運転手は20代だと言っていた。
ロリンズとフィンがパテルの家を訪ねると、差し押さえられて引っ越しの準備中だと説明しながら感じよく2人を歓迎した。
「昨夜は車を使っていない」
女性が襲われたと伝えると驚くが、その時家の奥で息子のサンジェイが逃げて行くのが見えた。
3人は追いかけ、息子をすぐに捕まえた。
「サンジェイ、何をした?」
「父さんのためだ」
サンジェイが言うには、多額の借金をして営業許可証を買ったのに、配車アプリに客を奪われ父が苦しんでいると、単なる腹いせだった。
父の友人も同じように追い詰められ、2人が自殺しているという。
「彼女は確認もせず車に乗って来た。誤って乗っても気づかない。
だから怖がらせようとした。暴行などしていない」
カリシが面通しを要求すると、今度はクロエは間違えなかった。
その際に、偶然釈放したモハメドと会い、クロエは謝罪した。
トランスジェンダー暴行事件
キャットがトランスジェンダーが暴行されたという現場に向かうと、被害者ラキラは顔見知りだった。
ラキラはホームレスで、時々身を売っていた。
その夜も、宿代を稼ぐ為だった。
リッチな客だが、横暴で乱暴されたという。
客にしたのは初めてだが、よく埠頭に来ている。青い目、大きなアゴ。
車は、派手なスポーツカーでドアが翼みたいに開くタイプ。
「ハゲタカよ」
翌日、埠頭付近で駐禁を取られた該当の車を発見。
所有者は企業弁護士のポール・デイビーズだった。
過去9週間で6回駐車違反をしている。
ラキラの言う犯人の人相とも似ているが、それだけでは証拠不十分だとカリシは思った。
ラキラに写真を見せるとデイビーズだと認めたが、裁判に持ち込んでも陪審員が自分の味方をしないと不安がる。
カリシは全力を尽くす、とラキラに約束した。
「初めて襲われたのは14歳の時。母親にも警察にもまともに取り合ってもらえなかった」
その後、デイビーズがゴルフコンペに出るという情報が入ったので、キャットはそこで逮捕を企て、オリビアに事前報告するが1人で行く事をオリビアに止められる。
「風紀課の時とは違うのよ」
カリシには、まだ決定打がないとも言われた。
「相手は弁護士で黙秘権を使われたら困る」
オリビアはカリシに同行を頼んだ。
必要ないというキャットに強くこれは命令よ、と言って。
ところがコンペには2人で出向いたものの、カリシが話すと言ってもキャットは聞かず自分のストレートなやり方を変えなかった。
デイビースはラキラの写真を見ても関与を認めず、車は盗まれたととぼけ、捜査は進まなかった。
キャットはカリシに勧められ、埠頭で他の被害者を捜した。
すると、デイビースは埠頭の有名人だった。
「金持ちだけどイカれた奴よ。皆被害に遭ってるわ」
昨夜ラキラと一緒にいた事も、ちゃんと目撃者がいた。
デイビーズと弁護士ターナーがSVUにやってきた。
「手柄は認めるけど、ここから先は私たちの出番よ」
オリビアは、参加する気満々だったキャットを外させた。
弁護士は、埠頭付近で車を盗まれたと主張し、車にラキラのDNAがあれば犯人扱いするつもりだった。
「あんな奴に触れてない」
そこへオリビアは用意していた複数の被害者の写真を1枚ずつ見せた。
ニキータ、エンジェル、他にもデイビーズを知っている。
弁護士は、被害届がないと帰ろうとするがオリビアが止めた。
「加重性的暴行、傷害、売春行為で逮捕」
隣の部屋から見ていたキャットはガッツポーズした。
キャットはラキラに会いに行き、裁判での証言を頼んだ。
これ以上恥をかきたくない、と気が乗らなかったラキラだがキャットの為にやる、と決心した。
罪状認否
3件の罪状認否を前に、ラキラ、ジョエルは証言を決心し、サンジェイは自供した為、カリシも一安心してSVUから裁判所に向かった。
仲直りの印にロリンズがカリシを見送ると、すぐにジョエルの妹アリーアが訪ねて来た。
「姉は証言しないわ。2人の離婚は未成立よ」
理由は養育費だった。
「レオンが服役すれば子供の養育費が入らない」
やっと帰れると思ったフィンが腰を上げ、レオンと話す事に。
「レオン、一服しようぜ」
裁判所ではサンジェイから罪状認否が始まっていた。
サンジェイ側は、暴力的接触は認めたが、レイプは無罪を主張した。
カリシは保釈金10万ドルを要求したが、判決は「5万ドルで十分だ」だった。
次はレオンの番になるが、ジョエルからの連絡はまだなかった。
カリシが不安になっているとフィンがやってきて、囁いた。
「手続きの遅れとでも言っておく。レイプ罪を取り下げ、暴行罪に問う」
「理由は?」
「聞くな」
レオン側は、傷害罪に関しては有罪を認めるがレイプ罪は棄却を主張。
カリシは、司法取引には応じ、保釈金は5万ドルと裁判長を見て言った。
「認める」
最後は、ポール・デイビーズ。
「すべての罪状の棄却を求めます。証人のラキラ・バッカから供述書が届きました。偽証を認め、訴えを取り下げると」
カリシと見学していたキャットは驚いた。
「今初めて知りました。誰かに強要された恐れが」
デイビーズは棄却が決まるまでの保釈となってしまった。
カリシはキャットに言った。
「これがSVUだ。君は事件だけ見て彼女の心を見落とした」
キャットは埠頭へ行き、装いがゴージャスになっているラキラを見つけた。
「裏切ったわね。誰かが助けてくれた?」
「天使よ、大きな翼のね」
「ハゲタカでしょ」
「ママの口癖を? 人には2タイプある。黄金をゴミに帰る人と。ただのゴミを黄金に変身させる人よ」
ラキラは買収されていた。
「このバッグ素敵でしょ。ママに贈るの。お金も借りたわ。ママと仲直りできそう。ハゲタカを天使に変える女。それが私よ」
キャットは何も言わなかった。
一晩に3つの事件が発生し、オムニバス風かなと思わせて1つにはしっかりとSVUの新人キャットへの手荒い歓迎のようなエピソードが混ざっていました。
ラキラは被害者には変わらないけど、このオチは後味悪いというか、被害者=守るべき者という図式に感情が入ってしまう事もあるんだなぁ、と考えさせられました。
ラキラは2度目があってもお金で解決すればいいんだろうか。
そもそも今回の被害以前にラキラには問題があるんでしょうけど……。
そしてラキラのした判断は自分の事しか考えてなくて、他の被害者を増やす事にもなる。
でも、そもそもラキラ以外の被害者は泣き寝入りしていた訳で……。
まさに負の連鎖が止まらない状態なんですが、少なくともキャットはこの経験で成長するはず!
でもほんとヘヴィな仕事。私だったら今回の件だけでもくじけて立ち直れないわ。
フィンがレオンをどう説得して、養育費を払い続ける約束をさせたのかは謎ですw
何にせよフィンの格好良さは安定。
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