あらすじ
隣人の怪我
ある朝、警視正は娘のアビーが熱を出し自宅で付き添う事になった。
すると隣人リチャーズ家の子供でアビーと仲の良いチャーリーがドアを叩いた。
「パパが怪我をして倒れた」
父親アンディはキッチンにうつ伏せで倒れていた。
デニムの尻にはうっすらと血液が滲んでいた。
診察した医師は、警視正にオリビアを呼ぶように言った。
「階段から落ちたと言っているが、会陰裂傷が酷い」
すぐにオリビアも駆け付けるが、アンディが暴行を認めない為、レイプ検査はできなかった。
そして一番最後に、仕事で遅れたという妻ダイアナがやってきた。
ダイアナは、アンディは慣れない工事現場で働いていて、先輩にしごかれているからその範疇だろう、とまるで捜査を避けるように家族と共に帰っていった。
オリビアはこのまま無視をする事ができず、アンディの職場の聞き込みから始めた。
アンディの職場
フィンとキャットがアンディが働く工事現場に向かった。
「確かに部下2人が揉めたけどそれだけだ。すぐに帰らせた」
アンディは最初から具合が悪そうでふらつき、そのせいで先輩を怒らせていた。
防犯カメラには確かに軽い小競り合いだけが映っていた。
だが怪我とは関係ないと分かる。
彼女
オリビアはリチャーズ家へ行き、ダイアナに前日の夜に何かがあったはずだと再度確認をした。
だが思い当たる節はないという。
「あなたに知られたくないか、恥ずかしくかしく思ってるはず」
そこへ二階の寝室で寝ていたというアンディが起きてきた。
オリビアは寝室でアンディと二人きりになり、何でもないと言われても、経験と勘でそうではない、と引き下がるつもりがないことを伝えた。
「奥さんには言わない。
あなたは大柄よ。誰かを庇ってるなら、他にも被害者が出るかも」
「彼女は……、いや彼はやらない」
アンディはうっかり「彼女」と言っていた。
「彼女って誰? 奥さん?」
オリビアの追求に慌てたアンディは、寝室からオリビアを追い返した。
オリビアは妻を疑うが、警視正には信じられなかった。
ダイアナ
妻のダイアナはギャラリーのオーナーで前歴はなし。離婚後も元夫の名字のままだった。
訴えがなければ捜査は出来ないが、虐待が事実なら誰かが何か見ているはずだろうと、オリビアは隣人である警視正の家へ向かった。
警視正の妻によると、リチャーズ家とは子供同士が仲が良かったが、ダイアナ自身は隣人には無関心だという。
「とっつきにくい。ダイアナが稼ぎ手で決定権を持ってて、チャーリーを連れてくるのも子守りばかり」
子守り
フィンとキャットが子守りに話を聞くが、すでにダイアナから口止めされているという。
だがチャーリーの為だと、と内緒で話を聞いた。
「奥様がボスだけど、チャーリーを傷つける事はない。アンディは穏やかでいい人過ぎるくらい」
ダイアナは仕事のストレスを抱えているというが、アンディへの八つ当たりを直接見たことはなかった。
「氷を頼まれることはあります」
昨夜帰宅前には、アンディが泣いているのを見ていた。
「大丈夫かと声をかけたが聞こえていないようで、部屋を出て行きました」
夫婦生活
ロリンズがギャラリーにいるダイアナを訪ね、心当たりを聞いた。
「アンディが二重生活をしてるとでも?
彼はゲイじゃないし、私を裏切って浮気などしない。
ただ、今は元気がないし、酒量も増えている」
そしてダイアナは打ち明けた。
「去年、性生活が奇妙なものになった。
彼は怒ってて、かなりな刺激がないと達せなくなった。
それでまさか……、夫婦用の性具を自分に使ったとか?」
オフィスで報告を受けると、ダイアナが言っているのは典型的な被害者叩きなのか、それとも真実なのか? と意見が割れた。
オリビアは経験から虐待の話をでっちあげる人はいないと主張する。
「男性が加害者なら怯える女性を信じている」
引き続き、被害者の為に戦ってとチームを督励した。
そこへまたリチャーズ家からの通報が入った。
加害者
それはダイアナからの通報だった。
「夫が暴れて首を切られた」
オリビア達が駆けつけると、アンディはキッチンにいたが大分朦朧としていた。
「妻が言った通りだよ。俺がやった」
オリビアも混乱をした。
アンディは被害者だと思っていたが……。
ダイアナの証言
キャットとロリンズがダイアナの話を聞いた。
アンディが飲み過ぎていたので声を掛けたら、怒られたという。
妻は夫を怒らせてしまったと恥じた。
「彼は悪くない。酔っていた」
妻は訴えるつもりもなくアンディを信頼しているが、状況的に義務的逮捕を告げる。
通報の記録も残っている。
「そんなの聞いてないわ」
そして弁護士を立てた。
アンディの証言
フィンとカリシがアンディの話を聞いた。
アンディは喧嘩をしたといいつつも、詳細はほとんど覚えていなかった。
ダイアナの首の傷すら知らず、聞かれると「じゃあ俺がしたはず」と言う。
「妻の話の通りで構わない」
目撃者
そこへ自宅でチャーリーを預かっていた警視正からの連絡が入った。
チャーリーは母親が自分で傷をつけているのを見ていたのだった。
カリシは再びダイアナ状況確認をした。
「襲われた時チャーリーはどこに?」
「子供部屋よ。チャーリーは何も見てないわ。でも父親を心配して庇うかも」
カリシはダイアナを捜査対象だと弁護士の前で伝えた。
「準備しておくんだな」
フィンとオリビアは、アンディに伝えていた。
「奥さんにハメられた可能性がある」
すると、ダイアナはギャラリーに警察が来た事で激怒をしていたという。
それでもアンディは妻を愛してる、と言った。
オリビアはよく聞く話だとアンディを説得した。
「この状況は残念だけど良くならない」
「息子に知られたくない」
「子供は意外に知ってる。こんな生活を続けるの? また暴行されて、いずれは息子を奪われてしまう」
「どうしろと? 裁判になったら陪審員は俺じゃなく妻を信じる」
「私達は違う。陪審員は賢明よ。ちゃんと考えて判断する」
裁判
裁判当日。
アンディは決心をしていたが、不安なのか小さな酒瓶を隠し持ち、警視正に取り上げられていた。
証言台には子守りのメルカド、性暴力対応看護師のシンダーガード、オリビアが座った。
だがダイアナの弁護人は切れ者で、男性被害者の信頼性を下げていった。
休憩に入るとアンディが姿を消した。
警視正は行き先に思い当たりがあり、バーでアンディを見つける。
アンディは薬を酒で飲んでいた。
「裁判所に戻って証言をしろ」
コーヒーを飲ませ、連れ戻した。
アンディ証言
アンディが証言台に座った。
アンディはどんなに妻が短気でこれまで家庭内暴力を受け続けていたか打ち明けた。
特に寝室での支配的な行動はどんどんエスカレートしていっていたが、あの日までは我慢して受け入れていたという。
「事件の日は疲れていて拒否をした。酒も飲んで意識を失った。
すると痛みで眼が覚め、バイブを挿入されていた。
妻に頼んでもやめてくれず、俺は再び意識を失った。
目覚めると出血し、シーツに血がついていた」
恥ずかしくショックで誰にも言えず通報もできなかった。
だが妻がでっちあげの通報をした事により、警察に性的暴行を打ち明ける決心をつけていた。
「妻は決して暴力をやめない。息子に虐待を受け入れさせたくない」
弁護人はアンディの飲酒をついた。
「嫌でも寝室を出られなかったのは、酔っていたから」
「今日も?」
異議は認められなかった。
「数杯だけ」
「でも去ろうと思えば去れますよね?」
「妻を愛してるんだ。ここにはいたくない」
「なら何故いるんです? 犯罪じゃなく性生活に関する夫婦間の意見の相違では?」
そしてアンディは立ち上がったがその場で倒れ込み、休廷となった。
カリシはアンディの飲酒を知らず、警視正に当たった。
「何故黙ってた?」
警視正はカリシの怒りはもっともだと認めたが、カリシは負けるかもと吐き捨てた。
カリシはアンディの信頼回復を目指すが、アンディはもう証言をするつもりはなかった。
「妻は激怒して理性を失ってる」
「陪審員にそれを示すんだ」
再開
アンディの体調と意思を確認して、裁判が再開された。
カリシがアンディを誘導した。
いかにアンディが、妻を怒らせない様に気を使って生活していたのかを語らせた。
「妻は怒ると人が変わる。目つきが変わり、感情が消え、平気で人を傷つける」
「今はどうですか? 怒っていますか?」
「はいそう思います。今メールが来ました」
接触は規則違反になるので、弁護人は聞いていないと休廷を求めるが認められなかった。
カリシは妻からのメールを読み上げさせた。
「クソ野郎、警告をしただろ。お前は無価値だ。負け犬でクズ同然。二度と息子に会わせない」
それだけでも陪審には十分だった、が。
「あと7通ある。全部読みますか?」
反証の前に、弁護人が解決案を提示してきた。
「軽犯罪を認め、収監はなし」
「駄目だ」
「保護観察を受け、親権は争わない。自宅に住み続けてよく、養育費も払う」
「守る保証はない。性犯罪者登録を」
結果、軽度の性的暴行罪と第3級暴行罪の有罪を認めた。
1年間の保護観察と息子が18歳になるまで性犯罪者登録をする事。
アンディ側が納得の結果で閉廷すると、ダイアナはすぐにアンディの元に飛んで来た。
「問題解決に取り組みたい。あなたを傷つけていたと思ってなかった」
オリビアは聞く必要ない、と口を挟む。
「分かってる」
アンディの表情はしっかりとしていた。
「チャーリーとは会わせる、だが俺の人生には関わるな」
アンディはダイアナをきっぱりと拒絶し、オリビア達に感謝をした。
すごい事件でした。
妻がエスカレートさえしなければ、ある意味仲の良い夫婦として問題はなかった……んですよねえ。
でも、夫は妻に愛があったようですが、妻には……どうだったんだろう。
とか、考えてしまいます。
とにかく、夫婦間の問題だから、と引かずに犯罪性を追求したオリビア達のおかげで、アンディが救われたのは確か。
警視正の隣人という設定はありましたが、事件以外のサブストーリー的要素は一言二言の会話程度で済ませ、がっつりとメイン事件に時間を割いていました。
アンディの演技がさすがで、最後人が変わったようにシャキっとしていたのが印象的でした。
まさに覚醒したって感じで。
ダイアナの女優さんも、ダイアナのサイコな感じがはまっていました。
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