あらすじ
忘却
セーフハウスで看病されていたリースのベッドは空になっていた。
ベアと一緒に街を散歩するフィンチは、公衆電話が鳴っても受話器を取らない。
ショウからは、ずいぶんと番号が出ていない事を不思議がられても誤魔化していたが、出ていないのではなく、フィンチがまるでマシンの存在を忘れようとしているかの如く、無視しているだけだった。
セーフハウスに戻ると、ルートの食器を下げに行くフィンチ。
ルートは、いろいろ大変なのはわかるが「彼女(マシン)」に八つ当たりしないで、と言う。
そしてフィンチに本を取ってくれと頼み、「偽の神々 中世における儀典」を要求する。
だが、それは読みたかった訳ではなかった。
手元にあった2冊の本と組み合わせ、その背表紙に並んだ図書管理番号が「新しい番号だ」とフィンチに突き出した。
「止めたいのは分かるけど、今はダメ。彼女は私達に協力し合えと」
フィンチは、本を受け取り無言で出て行った。
アーサー・クレイプール
フィンチが受け取った本を眺めていると、「やっぱり隠してた」と言いながらショウが現れた。
フィンチは動くかどうかを、決め兼ねていた。
それを聞いたショウは、早く決めてくれないと他に暴れられる所を探しに行く、と脅す。
仕方なく番号を調べ出すフィンチ。
パソコンのモニターにアーサー・クレイプールという人物が出ると、知り合いなのか様子がおかしくなるが、ショウが声をかけても何でもないと誤魔化した。
病院
ショウは、アン・ムーア医師として病院に潜入した。
フィンチはセーフハウスでクレイプールの情報を集めて通信する。
家と職場はメリーランド。
元ITコンサルタントで勤務先は、ランヨン・テクノロジー・ソリューションズ。
クレジットカードの使用履歴は病院内の売店が最後。
だが、入院記録はない。
すると、患者の中にクレイプールを見つけるショウ。
治療記録を探すと病名は武井膠芽腫(こうがしゅ)。
悪性脳腫瘍で末期だった。
余命わずかなのに何故狙われるのか?
クレイプールに近づきカルテを見て気分を伺うショウ。
ショウに見覚えがないというクレイプールを和ませながら会話をする。
時々記憶が無くなる事があるが、逆にマズイ事をふと思い出したりもするらしい。
すると、セキュリティのような男が近づいて来てショウを警戒するので、その場を離れざるを得なかった。
セキュリティは、政府の護衛だと見抜く。
また、病室から出てくるのを見て3人体勢のウェッジ・フォーメーションだとも。
シークレットサービスだ。
クレイプールは一体何者なのか?
最高機密の関係者?
「マズイ事」を想い出されると困り、口を封じたい連中がいるのだろうか。
その後も調べを続けるが、データが極端に少ないと珍しくフィンチが嘆く。
探る方法を相談していると、グレイプールに同年代の女性が面会に来る。
その容姿からダイアン・クレイプール、彼の妻だと判明。
だが部屋に入ると騒ぎ声が。
騒ぎに乗してショウが駆けつけるが、セキュリティに止められる。
混乱しているだけだ、と。
どうやら妻の事を忘れているようで、面会を拒絶しているようだった。
「許可もないのにどうやって入った?」
「サマリタンが稼働するようにしなくては」
と言い出した所で、セキュリティが飛んできて、その辺でと制止した。
心配そうに見ながら妻は病室から出て行った。
サマリタン
フィンチはサマリタンに聞き覚えがあった。
調べると機密プロジェクトだったが、2005年に議会が予算を削減し、打ち切りになっている事が分かった。
クレイプールは元NSA、国家安全保障局で働いていたとショウが妻から聞きだしていた。
ちょうど在籍していた当時になる。
元NSA職員で機密情報を見聞きしてたクレイプール。
今それを大声で叫んでる。
15以上の外国の諜報機関が欲しがる人材になっていた。
それならば警護ですら口封じをしようと脅威になり得ると、慌てるフィンチ。
ショウは、ガードを避ける為、X線検査を受けている部屋に天井裏伝いに入っていく。
すると、ゴミ箱に注射器が捨てられているのを見つける。
フィンチは、検査用の放射性指示薬では? と言うが、匂いを嗅ぐと自白剤だった。
仕切られた部屋で、看護婦らしき女が質問している。
「誰が持ってる?」
「ルディ」
「ルディはどこ?」
検査ではなく、尋問だった。
ショウが存在を示すと、途端に看護婦は消えていた。
敵はすでに病院内にいたのだった。
そこへセキュリティが銃を構えて入って来て、ショウは捕まってしまう。
閉じ込められた部屋で携帯を見つけ、なんとかフィンチからの通信を受けたショウ。
フィンチは、目の届く所に、と病院の駐車場まで来ていた。
ここで自白剤を打った人物を探すという。
防犯カメラの録画には、検査技師を装う女性が映っていた。
撮影室のPCにログインした名前はエリザベス・ロス。
「ベッツィ・ロス」として知られているアメリカ革命の英雄がいる。
クレイプールを狙うのは、政府の極秘監査プログラムを暴きたい連中……。
そして、ショウは部屋に入ってきたセキュリティに尋問されるが、すぐにセキュリティの様子がおかしくなり突然倒れてしまう。
デリバリーを食べていたので、フィンチが何か入れたのかと確認すると何もしていなかった。
ヴィジランスの仕業だ。
コリアーを含めて病院に現れたのをフィンチが確認した。
ショウがクレイプールの病室へ急ぐと、セキュリティは全員薬入りのデリバリーでやられていた。
クレイプールと妻を逃がそうとするショウ。
だがクレイプールはやはり素直に言う事を聞いてはくれない。
そこに「アーサー行こう」とフィンチ自身が現れる。
やはり知り合いだったのだ。
やっと知ってる顔が来たと安心するクレイプール。
サマリタン
フィンチとクレイプールはマサチューセッツ工科大学の仲間だった。
4人は、発砲を受けながらも、車に乗り込み安全な場所に逃げる。
フィンチが質問をしても、妻の前では仕事の話をしたくないと警戒を続けるクレイプール。
一緒に逃げ出したものの、妻は怪しくないのだろうか?
陽が沈み、落ち着いた頃。
サマリタンの事を話し出す。
大量のデータを分析し、テロ攻撃の可能性を探知し、そして未然に防ぐ画期的なプロジェクトだった。
第2のマシンがある事に、思わず無言で目を合わせるショウとフィンチ。
そして、マシンの事は言わなかった。
しかしサマリタンは、2005年に2月25日に潰されて今はない、と言う。
政府があと数週間くれれば、サマリタンの実用化は目の前だったのに。
理由は市民の自由の権利を侵害する恐れがある、とか言っているがクレイプールは信じていなかった。
「政府はシステムを求めてた。
ゴミみたいなプリズムだけ残して世間の目をそらしたんだ」
「何から?」
「誰かが完成させたんだよ。そのシステムを」
さすがにするどかった。
リース
ニューヨークからコロラドに来ていたリース。
レザーのジャケットを着、無精ひげを生やし、ニューヨークを駆け回るスーツの男の面影はない。
昼間から寂れたバーに入り酒を頼んでいる。
だが、そのバーの壁にはリースの父親の写真が。
縁のある店のようだ。
突然客同士が喧嘩を始め、外で殴り合いになるが、リースは無視して店の奥へ移動する。
するとそこに居たのはファスコだった。
リースを追って来ていたのだった。
もちろん、心配をしている仲間の代表として。
嫌がるリースの隣に座り、だったら黙って飲めと言われるファスコだったが、酒は頼まなかった。
もう長い間禁酒しているが、そのきっかけはリースに出会ったからだ、と言うファスコ。
ファスコは、なんとかリースに前向きになって、また人助けをして欲しいと伝えたいのだが、リースは聴く耳を持たない。
何をしても悪い事は起きる。
意味がない、と。
人を救ったのも意味がないのか? とリースを雨が降りしきる店の外へ連れて行く。
話して無駄なら拳で語ろうというつもりなのか、殴り合いを要求するファスコ。
最初は、相手にしていなかったが、ファスコの本気を感じるとリースも受けて立った。
コントロール
フィンチは、2人の偽IDを作り、保護の準備が完了した事を告げた。
だが、また妻を拒絶し暴れ出すクレイプール。
何故ハロルドしか想い出せないのか、と悩みだすと途端に想い出す。
ダイアンは死んでいたのだった。
2年前の2011年6月12日だ、とはっきり言うクレイプールにフィンチも確かな情報だと信じる。
すると、偽の妻が隠しマイクで指令を出す。
突入、と。
複数の侵入者にショウ1人では厳しく、たちまち囲まれてしまう。
完全に、開き直る妻。
そこへ1人の男が登場。
ショウの元上司であるハーシュだった。
ハーシュは完了です、ボスと偽妻に声をかける。
偽妻はかつてショウの正体不明のボス、コントロールだったのだ。
ショウに向かって言う。
「よくやってくれたわ。
アーサーに近づくテロリストから守り、噂に聞く雇い主と会わせてくれた」
そして向きを変えて言う。
「ラストネームを教えて、ハロルド」
コントロールの狙いは、サマリタンの在り処。
表向きは葬られた事になっているが、ドライブが存在するはずだ、と。
更に、せっかくだからとフィンチにもあなたの最高傑作を返してと銃をつきつける。
「先に答えたほうがこの部屋を出られる。死なずにね」
管理者の危機を知り、反応するマシン。
だがサマリタンについては出た答えは「不明」、だった。
つづく
かんそう
あーー面白い!
シーズン3の加速感、ハンパないです。
リース君が傷心独り旅をしている間に、ショウもフィンチも捕まってしまいましたよ!
HRが一段落したらヴィジランスだろうな、とは思っていたもののこんなに早く動き出すとは。
更に、ショウの過去の組織もマシンを狙って再浮上。
まあ、妻は最初から怪しさバリバリでしたけど、でもその正体を知ると面白い!
単なるワンオンワンではないだろうな、と期待も含めて思っていましたが、こういう図式ですか~。
ヴィジランスはプライバシー保護を訴えている組織なので、マシンを邪魔だと思っている。
ショウがいた組織は、マシンを知る存在を片づけるのがお仕事のはず。マシンの存在そのものは認めている、んですよね。
それぞれがマシンの在り処を知りたいけど、目的は違っている。
という事は、なんだかんだヴィジランス対その他って感じになっていくんでしょうかね~。
と同時に、サマリタン!
政府はフィンチの作ったマシンを選んだように思えますが、ほぼ同じ機能を持つサマリタンも何処かに存在しているとなると、これまた良い予感はしませんね。
いずれマシンVSマシンにもなるのかしら??
フィンチと仲良しアーサーは、フィンチの創ったマシンが選ばれたと知ったら、フィンチを逆恨みしてしまうんでしょうかね。
気持ちはわからなくもないけど、それはちょっと寂しいですね。
おっさんの仲良しっぷりには、インスタに堂々とUPして欲しいくらい和まされたので。
ともあれ、今は残されたベアとルートの食事が心配です><
(イラスト:Simoom、文:ジェーン洞)