あらすじ
ルゼックの父
ルゼックの父親ボブの警官退職が間近になっていた。
プラットからは、子供の頃のルゼックの野球の話をよく聞かされたという昔話をされたり、ボイトからは険悪な仲にも関わらず酒をもらった。
「30年シカゴに尽くしたことは変わらん」
その酒を渡すため、同乗していたバージェスと父親の家に寄った。
すると、荒らされた家の中に血痕があり、父親は姿を消していた。
裏庭でスマホが見つかるが血痕が続いていた。
目撃情報で二人のラテン系の男と揉めていたという。
スマホの履歴から、「届けなきゃ終わり」というメッセージを見つけるが、番号は発信専用で送信者に心当たりはない、とルゼックはボイトに報告した。
ルゼックの嘘
ルゼックはボイトに嘘をついていた。
送信者には心当たりがあり、独自でボーリング場に乗り込んでいき、その相手に銃をつきつけて口を割らせた。
すると父親がギャンブルで酷い借金を抱えていた事を知る。
「8万ドルにかさんだから追い出していたんだ。それが一ヶ月前に全額返金された。それ以来、店には来てない」
拉致とは無関係だった。
ルゼックが店を出ると、バージェスが待っていた。
「つけたのか?」
「ええ、ボイトに嘘をついたのがわかったから」
ルゼックはバージェスにわかったことを伝えた。
8万ドルの入手方法が今回の事件と関係しているのは明らかだった。
その時、ルゼックの携帯が発信専用番号からの動画を受信する。
その動画には血を流した父親が映されていた。
「ロス・ティラノスの連中が、内部に紛れている密告者を探している。そこで俺の息子であるお前に犯人捜しをしろと。俺の命と引き換えに……」
また連絡する、といって動画は終わっていた。
密告者
ボブが消えて12時間が経過した。
特捜班ではロス・ティラノスの情報を整理する。
ラテン系ギャングで、メンバーは多数いる為、特定には時間がかかりそうだった。
複数ある縄張りの中心拠点はピルゼン。
長らく放置されていたのがここ数ヶ月で手入れが入っている。それが内部の情報提供者の成果だろう。
容疑者
現場にあった血痕の1つがティラノスのメンバー、ヘクター・サンティアゴだと判明する。
すぐに自宅に押し入ると、ヘクターは怪我をしたまま瀕死状態だった。
恋人の看護師がそばにいたが、ヘクターが病院にはいかないというので家で介抱していたという。
だがヘクターはルゼックが父親の居場所を問い詰める中、死んでしまった。
恋人はヘクターがギャングであることも知らず、ルゼックの父親の件も何も知らなかった。
父の秘密
バージェスはボイトから、ボブの記録を洗うよう指示されていた。
ルゼックは父親はパトロールしかしていないから意味はない、とあてにしていなかったが、バージェスは大事な証拠を見つけた。
3日前にティラノスのデータベースを利用していたが、任務上ギャングとはかかわりがなく、越権行為だった。
さらにメンバーに関係した捜査報告書の閲覧も。報告書には「情報屋マーリン」の記載があった。
ボブは情報屋がマーリンであることを知っていた。
おそらく、そのマーリンという暗号を解読しようとしていたがそれ以上の権限がない為、できなかったのだろう。
相談
ルゼックはボイトに報告した。
更に動画が届き、明日の正午までという期限が設けられたことと、父親の越権行為を。
「事実なら汚職行為になる」
マーリンを調べると、多数の捜査に貢献している優秀な情報屋だった。
だがその本名をバラせば確実に始末される。
ルゼックは、父親を救うために取引きに応じるつもりだった。
「命の交換になる」
「そうですがマーリンはギャングで密告者です。清廉潔白じゃない」
「お前の父親は清廉潔白な生き方をしてきたのか?」
「いいえ、でも僕の父親だ。ボスが拘束されても迷わず同じ選択を」
ボイトはしばらく無言だったがルゼックをこの件に関わるな、と外した。
ボイトはあくまでも、期限より前にボブを見つけて救出するという姿勢を崩さなかった。
「俺達に死刑を命じる権限はない」
ボイトは麻薬取締局の担当者と密会し、マーリンについて尋ねた。
マーリンは一見ギャングには見えない女性だが、ティラノスの有望株だという。
マーリンの本名は明かせないがその代わりにマーリンの命を狙っている存在がいることを教えてもらった。
高利貸しのギャング
ルーカス・バレーラは、金貸しで資金洗浄をしていた。
おそらくボブもその客だったのだろう。
バレーラは密告のせいで、隠れ家を失い口座を凍結され、チームで危うい存在になっている。
マーリンの正体捜しにやっきになっても仕方ないといえる。
そしてヘクターとのつながりも見つかった。
いとこでありバレーラの用心棒でもあった。ボブを拉致しているのはバレーラに間違いない。
さらにバレーラの家族が所有する閉鎖された倉庫がピルゼンにあることがわかった。
そこで椅子に拘束されたボブを発見し、無事救出するが、バレーラには逃げられていた。
ボブ
ボブは病院に搬送されたが、命に別状はなくすぐに退院できる状態だった。
バレーラの名前には、一度はとぼけたがルゼックが「嘘をつくな」と追及すると認めた。
そもそもバレーラは、25年前にボブが逮捕して以来の情報屋という関係だった。
実は、出会った時から時間経過とともに、巡査のままのボブとどんどん出世していったバレーラで力関係が逆転してしまったのだという。
高利貸しで金を貸したのも、バレーラがボブを言いなりにするためで、ボブはそれをわかっていて流れに身を任せていた。
今回拉致されたのは、マーリンの正体捜しの期限がきてしまったから。
そこでボブは自分からルゼックの情報を流していた。
「銃を頭につけられた時、殺されないために息子を当てにするしかなかった……後悔してる」
それだけでもルゼックは呆れたが、さらに怒りを増す。
「バレーラを捕まえないでくれ。あいつが逮捕されたら俺の汚職もバレてしまう。年金もなくなる! 俺達の名が汚される!!」
「俺達!?」
ルゼックは怒りをぶつける場所がなく、ベッドを叩いた。
だがルゼックはボイトに頼んでいた。
父の為にバレーラを逮捕しないでくれ、と。
「もう父親を庇うのはやめろ」
「わかってます。ですが、ルゼックの名が汚れればチームのみんなに迷惑がかかる」
「ここの仲間はそんなこと気にせん!」
ボイトは承諾しなかった。
「俺達は普段通り事件解決を目指した。だが助かった途端、ヤクの売人と結託して見逃せだと? 俺達は用済みか?」
ボイトは声を荒げる。
「ボブは落ちぶれ警官だ。だが20年前にボブともめた件は一切関係ない。バレーラは警官を拉致して殺そうとした。警官全員を敵に回したも同じ、分かるか? 俺達は必ずバレーラを捜し出す」
参加するかどうかは自由だ、とルゼックに委ねる。
「お前の決断を見させてもらう」
バレーラ
バージェスが手がかりに気づいた。
ボブの巡回履歴の中で、一か所だけ通報と無関係の場所があるということを。
その場所はティラノスの拠点だった。
通報もなく5回は停車している。
その近辺の防犯カメラを調べると、逃走時に奪った車を運転しているバレーラが映っていた。
ルゼックはバージェスと共に現場に向かった。
車中でルゼックはルゼックの名を汚したくないという父親の気持ちに共感する、といい、バレーラが消えればみんなの為だ、と発言してバージェスを引かせていた。
現場に一番に到着したルゼックは応援を待たず家の裏に回った。
バージェスは入口で待つ。
すると銃声が響いた。バージェスが裏庭にかけつけると、バレーラは背中を撃たれてうつ伏せで倒れていた。
「何をしたの?」
それが開口一番だった。
ルゼックはバージェスを睨むと何も言わず、無線で連絡を入れた。
真相
現場に到着したボイトに聞かれたルゼックは、正当防衛だと報告していた。
バージェスははっきりとは口に出さないが、ルゼックを疑っている。
そこへ隣家の防犯カメラの映像が届くと、一部始終が映っていた。
相手が先に撃ち、撃ち返した二発が倒れた背中に当たっていたのだった。
その内容は、ルゼックがボイトに報告した内容のままの正当防衛だった。
解決後、ロビーでプラットに声をかけられたルゼックはプラットに打ち明ける。
「父親が、僕の野球の話をよくしていたという件ですが……全部ウソです。得意の作り話ですよ。出世できない理由を家族のせいにしていた。実際はバーでろくでもないギャンブルを」
「野球下手だものね」
そこへ副本部長への報告書を手にしたボイトが通りかかった。
ルゼックは覚悟している。
だがボイトはボブの汚職については伏せた状態で報告書を仕上げていた。
「情報屋の正体を知ってると勘違いされ、誘拐された。容疑者が死んだ為それ以外は不明」
「ボス……、なんといえば」
ボイトはルゼックの頬に手を当てていった。
「今日一番の朗報と」
父親の退職パーティーは無事予定通り開かれた。
ルゼックとバージェス
その夜。
ルゼックの自宅をバージェスが訪ねた。
「誤解をときたい」
だがルゼックにはもうバージェスに対する感情は残っていないようだった。
「君が現場に現れた時、僕のことについては何も心配していなかった。君を好きになったのは僕を信じてくれたからだ」
「今もよ」
「どうかな?」
「でもあの状況なら仕方ないでしょ」
「いや、僕らの関係を思えばそう思っても口にはしないはずだ。立場が逆でも僕なら絶対言わない。僕は君を知ってるから。家名を守る為とはいえ逃げる男を背中から撃つなんて絶対しない。だが君は違った」
ルゼックはバージェスの謝罪を受け入れず、ドアを閉めた。
「もういい、わざわざどうも」
ルゼックとバージェス、うまくいかないことはわかっていても、こんな終わり方になるとは。
バージェスの気持ちもわかるし、ルゼックの気持ちもわかってつらい!!!
特にルゼックはしっかりミスリードもしてましたしね。
私はシカゴファイアとPDとSVUしかディック・ウルフ作品を見てませんが、今放送中のシーズンを比べるとPDが一番安定して面白くなっています。
まあ、SVUのシーズン23が低発進って感じでその差分の影響は強いのですが。
特にボイト派としてはボイトの現場での活躍がほとんどないのにこの面白さ、ですから評価しないと! って思います。
今回のボイトは一見ルゼックにきついというか、一切の手加減なし! と見せかけて最後でこれだから!!! みたいな見せ場を用意してて格好よかったです。
ルゼックがやっと笑顔を見せたのも、ほっとできました。
でもバージェスとの関係については心配というか、恋愛関係なしにしてもチームとしての信頼にどう影響するのかしないのか……。
それと前回お手伝いだけかと思っていたクーパー君がちゃっかり? 当たり前のようにチームにいて驚きました。
現場ではアトウォーターが新人としてケアもしていて、これはもう立派なメンバーってことでいいんでしょうか?
あまりの空気な扱いに、あとひと悶着あって消える……パターンかな?
(あまり特捜班に向いてそうにも思えないし)
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