あらすじ
2017年3月31日~FOXjapanにてシーズン5日本初放送(全21話)
マークの母親殺害事件
サンチェスが一時的に預かる事になっていた少年、マークにトイレとお金の場所を伝えて車に残した母親エヴァ。
2時間くらいで戻ると消えてから、エヴァが発見されたのは3日後だった。
しかも、遺体となって。
まだ8歳のマークに、エヴァの死を伝えるのは誰にとっても難しかった。
特に、母親であるシャロンは「マークに伝えて、母親殺しの手がかりを聞きだそう」という案には首を縦に振る事はなかった。
エヴァの遺体発見現場はリンカーン・ハイツの空き地で、銃で顔を数発撃たれていた。
口をつぐめ、の意味だ。
エヴァはダーネルという被告の検察側の証人になる予定だったという。
異人種夫婦とその子供達8人を殺した、アーリア人純血主義の男。
チクロン・ブラザー(ZB)の一員でもある。
ナチスが使った毒ガス、チクロンBから取った名前が主張するように、ヒトラー率いるナチスに傾倒している危険な組織だ。
エヴァはZBを知っていたが、ダーネルやZBとの関係を話そうとはしなかった。
だが、何らかの不動産詐欺に利用されていた。
本件の担当であるローゼン検事は、そんなエヴァとマークを守ろうとして、安全な場所に部屋を借りてやっていたのだが、ある日「話す」といって逃げられていた。
ダーネルの裁判自体は殺害なので影響はないが、ダーネルとZBを結びつける為にはエヴァの証言がどうしても必要だった。
エヴァは、売春婦でマークの父親は不明。エヴァの両親とは連絡が取れない。
車の中の遺品を探るが、特に手がかりになるようなものはなかった。
今の手がかりは、8歳のマークだけだ。
かもさんおとおり
犯人逮捕まで告知はしたくないが、今すぐマークの協力は必要だというシャロン。
すると、サンチェスが1冊の絵本を取り出して「役に立ちそうです」と渡した。
サンチェスとフリンとシャロンで和やかにマークを囲む。
マークは絵本を見て「かもさんおとおりだ」と生意気な彼にしては珍しく、子供らしく喜んだ。
ママが読んでくれたと言いながらページを開くと、シャロンはそこに図書館の刻印を見逃さなかった。
しかし、マークは図書館で借りたのではなく、ヘンリーおじさんがくれた、と言う。
フリンがおじさんの名字を尋ねると、途端に警戒の表情を見せて「知らない。ママの恋人だった」と言い、そこから口数を減らした。
すかさずシャロンが警戒を解こうと、本を見せてと優しく尋ねる。
そして図書館のバーコードを撮影しながらヘンリーおじさんについても尋ねるが、やはり無言だった。
バーコードによって判明した図書館によると最後の借主は、1999年のケイト・コルソン34歳。
年齢的にヘンリーの母親だと見立て、タオがヘンリー・コルソンで検索をする。
すると、脅迫、器物破損、ラビ暴行等で数回の逮捕歴のある男のデータが出てきた。
写真を見ると、一目でそれとわかる鍵十字とZBのタトゥーがあった。
しかし、ヘンリーの家はすぐには見つけられなかった。
ラスティからのヒント
それには下心があり、バズの父親殺害の容疑者であるヘクト聴取の見学許可をもらいたかったのだが、シャロンは前回の特権誤用を責め、許可はしていないと厳しかった。
なんとか許しを得ようと一生懸命なラスティに考えておく、とだけ言って。
なんにでもすぐ答えを欲しがるラスティには、スッキリしたとは言えなかったが自ら話題をマークに切り替えた。
自分の体験を元に考えると、最初は反抗的だった。
だけど、もし母親の居場所を教えてくれていて、そこが知ってるおじさんの家だったら素直にそこまでの道のりを教えていただろう、と。
この言葉にシャロンはピンとくる。
まだ母の死をマークは知らない。母親がおじさんのヘンリー家にいると言えば、すぐに案内してくれるだろう。
そして悩む。
8歳の少年に母親が見つかったと、ウソをついていいものなのか?
捜査の進展の為に。
ヘンリーおじさんの家
結局、サンチェスとプロベンザがマークに道案内を頼んでヘンリーの家に向かっていた。
その途中の車窓から学校を見つけると、もう近いとマークははしゃいだ。
その近くで「あそこだ!」と指をさすと、サンチェスは無線で護衛を待機させた。
少し先の角を曲がって車を停めると、サンチェスはやはりマークに供述させたという事実は使えない、と直前で考えを改めた事をプロベンザに伝えた。
マークが案内をしたと知れたら、母親同様始末されるだろう。
プロベンザが仕方ない、とシャロンに電話で伝えると、シャロンはすぐに車にあった遺品の中の写真について話した。
その中にマークの学校が映っていたから、学校に聞けば住所が解るのではないか、と。
確かに、学校は近くにあった。
すぐに確認すると、マークの問題行動のおかげで、校長が記憶しており住所を突き止める事が出来た。
いざ突入となった際に、マークはサンチェスに奥の寝室に入ると怒られるんだ、と忠告をした。
家の中は無人だったが、マークの言う奥の部屋にはナチスの関連グッズが綺麗に陳列されていた。
プロベンザは、バズを呼んでくまなく撮影するように指示をすると、バズが床下から突き出す銃口に気づいて「銃だ!」と叫んだ。
ヘンリーは床下に隠れており、そこから狙っていたのだがサンチェスとサイクスが捕り抑えた。
床下には覚せい剤のラボがあり、室内には不動産詐欺の書類も大量にあった。
そして大量の銃器からは、母親殺害の凶器も。だが指紋はヘンリーのものではなかった。
マークの待つ車に戻ったサンチェスは、忠告の礼とともに母親の不在を伝えた。
するとそれまでは強気一辺倒だったマークが、自分が悪い子だったから母親に合わせてもらえないのかと思ったのか、態度を一変、サンチェスに懇願し始めた。
「いい子にする。お願い」
車の外に大きな幼い声が響いた。
ZB
自己弁護を申し出たヘンリーは、取り調べを始めると、とにかく電話を使わせろとだけ要求した。
それしか言わないので、不動産詐欺の線で攻めようと押収した書類の住所を読み上げていると、別室で見ていたローゼン検事がある事に気づいた。
それらの住所はすべてダーネルの殺しの現場と同じだったのだ。
これで、ヘンリーとダーネルがはっきりと繋がった。
ZBは異人種夫婦に家を貸し、ダーネルが殺した。
それに気づけなかったのは、女性名義で不動産取り引きが行われていたからだった。
殺すついでに金も奪っていたのだった。
この情報を元に、ローゼン検事と重犯課で揃って裁判所に出向き、ダーネル裁判の延期を要求すると、無事認められた。
そこで、ダーネルからヘンリーと同じ思想を持つコルソン家族は他にもいると聞かされる。
そしてダーネルも、そっちが必要なことをするなら俺もそうします、と宣戦布告し、ジークハイルと叫びながら連れ出されて行った。
バズ
捜査が続く重犯課に、ヘクトが到着した事を伝えたのはラスティだった。
事件を優先する為に数時間待たせる事になったが、どうしても聴取に参加したいラスティが暴走する事を見越したフリンが事前に止めた。
「シャロンは今日忙しい。あれこれ質問するな。聴取が始まる時に、彼女から見える所で悲しげにしてろ」
そして事件の合間に、ヘクトの聴取が始まった。
ラスティは、フリンに言われた通りにただ黙って立っていると、シャロンは一度は無視したが、やっぱりもう一度振り返って声を掛けざるを得なかった。
「今から見聞きする事は口外無用よ」
結局ラスティに許可を出したのだった。
ヘクトは終身刑である事から、自分にこれ以上悪い事が起きる訳はない、と余裕の態度ではぐらかしているだけだった。
しかし、バズは普段の優しさからは想像しにくかったが、厳しい態度に出て、ヘクトをさらにタチの悪いペリカン・ベイ刑務所に移すと脅して、その余裕の表情を一瞬で強張らせた。
そして、アリバイだと主張する当時の彼女の名前を聞き出した。
ジェニファー・エドワーズ。
ヘンリー同様に電話を使わせろ、というヘクトにこの裏を取るまで何もさせずに延期、ときっぱり言って、見事に立ち回った。
同席していたプロベンザはもちろん、別室のシャロン、タオ、ラスティの全員があまりの見事さに感激した。
電話
シャロンは、ヘクトの聴取から閃かせていた。
ヘンリーにあえて携帯を使わせて、盗聴し、逆探知を試みたのだ。
その狙い通り、父親の居場所を突き止めた。
その通話で父親は、母親同様にマークも殺すとはっきり言っていた。
ヘンリーの父と兄弟のいる倉庫にシャロンが電話をしすでに包囲している事を伝えると、2人は降参するのではなく自爆を選んだ。
爆弾を身体に撒き付けてトラックで包囲に向かって登場し、ライフルを乱射するが、運転する父親をサンチェスが仕留めた。
それをきかっけに、息子は反撃を止め、自爆してトラックを大爆発させた。
コルソン親子は死という結末を迎えたが、その倉庫の中はすでに移動した後のようで何も見つからず、首謀者も発見できなかった。
テイラー副本部長は、ローゼン検事にダーネル裁判を傍聴すると申し出た。
まだ何かありそうだから。
シャロンとラスティは、これからマークに真実を告げる時を揃って見守ろうとしていた。
まだ8歳なのに、人生最悪の知らせを聞かなくてはならないマーク。
マークには沢山の愛が必要だ、と重犯課の皆で守る事を確かめ合った。
つづく
かんそう
前回に続いて、マークの母親殺し事件とバズの父親殺し事件が進展しました。
マークの母親殺しは、ZBという物騒な組織が絡んでいて、まだ続きがありそう。
とにかく国が広いアメリカならではのテーマだと思いますが、過激で恐ろしい……。
でも、マークの偏った言動の裏がこれでちゃんと説明されました。
こんな環境で育っていたら、何の疑問もなく大人の影響を受けてしまうのは仕方ない。
この辺はメジャークライムだからしっかり納得できる背景があるはず、と信じていました。
なので、マークはどれだけ悪態ついても最初から憎めない子でしたが、今回は本当に可哀想でした。
あんだけ嫌っていたサンチェスに「いい子になるから~」って。
真実を知ったらどうなるの!? 可哀想すぎる!!
そんなマークにももちろん愛を与えようとしているザ・母親シャロンですが、今回はラスティに厳しかった!
でも、結局フリンの入れ知恵でラスティはシャロンを思い通りにしてるしw
あの2人のコソコソシーンは、親子っぽくて微笑ましかったです。
シャロンは、なんだかんだ甘いとも言えるし、ラスティの面倒を見ているだけではなく、ラスティにも助けられているって事が分かっているんでしょうね。
ある意味親子以上の信頼関係が垣間見えて、羨ましい限り。
今回はおふざけモードがかなり少な目でしたが、その分感動とハラハラが味わえる回でした。
次回はこちら
登場人物はこちら
前回はこちら
(イラスト:Simoom、文:ジェーン洞)