あらすじ
ウォリック上院議員の引退により、クーパーが後任候補に指名された。
ちょうどレッドからの呼び出しを受けたので、クーパーは誰よりも先にレッドに報告していた。
次のブラックリストは、元NSAのオグデン・グリーリーだった。
政府が30年以上、存在を認めなかった国家偵察局。スパイ衛星の設計、打ち上げ、維持を担っている。
その請負業者だったが、機密へのアクセス権を持ったまま5日前に失踪していた。
「この国の衛星技術についてすべてを知っている」
CIAは拉致されたと考えているが、事実は違う。
グーリーは自国の危機管理の甘さに嫌気がさし、過激な行動に出ていた。
「危機を分からせるには直面させるしかない」
米国の衛星システムにおける脆弱性の情報をオークションにかけていた。
入札者は他国はもちろん、個人もあり得る。
オークションの締め切りまであと13時間――。グーリーの捜索を急ぐ。
同盟国からグリーリーの情報を仕入れ、5ヶ月前にベルリンで浮気をしていた事を知る。
女はロシアのスパイ、ニーナ・クリレンコだった。
ロンドンにいるニーナをレスラーとパクが逮捕した。
入札終了1時間が経過していた。
ニーナの正体はマージョリー・エリス。イギリス国籍だった。
ニーナは落札者を知る前に捕まってしまったというが、引き渡し場所の情報を吐いた。
キル・リスト
受け渡しは4時間後、モンゴルのウランバートル。グリーリーはすでに入国していた。
買い手は不明。
今からでは現地に行くのは間に合わない。
かといって下手に協力を求めれば情報を狙われる可能性もある。
万事休すかと思われたがクーパーは処分マトリックス、キル・リストを提案した。
「カンダハルから無人機を送る。軍による標的殺害だ」
アラムは手続きなしの自国民処刑だと苦い反応をするが、手段を選んではいられなかった。
「国家安全保障会議に諮ってみるしかない」
メンバーは大統領、統合参謀本部議長、国家安全保障会議の構成員から国務長官と国防長官。
9.11以降、大統領には武力行使の権限があるが、この20年標的殺害はテロ絡みの扮装で行われている。
グリーリーについては即決にはならなかった。
テロリストでもなく、テロ組織とのつながりもない。
クーパーは説得材料となる緊急度の説明を求められる。
「グリーリーが売るのは武器となり得る情報です。買い手は我が国に敵意があるかもしれません。情報を買ったものはそれを使う気でしょう。攻撃をただ待っている気ですか?」
取引き予定の時間まであと3時間となった。
前例のない事態に会議は慌ただしかったが、結局狙撃が認められた。
引き渡し
クーパーも会議室のモニターを見る。
するとグリーリーに近づく2名の人影を見て気づいた。
「レディントン!」
クーパーは即座に狙撃の中止を訴えた。
レディントンは犯罪者だが軍隊は持たない。
狙撃の相手となる、攻めてくる敵には当てはまらない。
再び、会議室は混乱する。
購入後の転売も考えられるし、悪党に機密情報を渡すのをただ黙って見ているのか?
そうしているうちに、レッド達は建物の中に入り、もうしたくても狙撃出来ない状態になってしまった。
「君は国を危険にさらした」
クーパーは責められながらも、捜索と逮捕を約束した。
クーパー
クーパーが議員候補に挙がっている事を知った妻は素直に喜んだ。
ウォリック上院議員と、夫婦での会食もしていた。
最初は和やかなムードだったが、議員の口から「ブラックバジェット」という言葉が出てクーパーは気になった。
非公開の国防予算でCIAやNSAに渡る。国家偵察局にも。
議員が知るのは総額のみで、内訳や配分は不明で総額に対して賛成か反対の評決をとるという。
「今年の予算は800億ドル。君に賛成票を投じて欲しい。
補充の議員を任命するのは知事だが、私の意向は尊重される」
どうやらクーパー指名には賛成票の確保という狙いがあるようだった。
ブラック・バジェット
クーパーはレッドにブラック・バジェットについて調べさせた。
アラムの調べでは、ウォリック上院議員の言う通り総額しか分からなかった。
モンゴルでの取引きの後、デンベがブラック・バジェットについての調査結果をクーパーのオフィスまで届けた。
クーパーはモンゴルで狙撃されかけていた事を伝えた。
「止めて後悔してます?」
「レッドは収集不可能な情報をどうやって手に入れた?」
「彼には手立てがある。あなたは善人だ。何が分かろうと上院議員の話を受けて欲しい。この国に必要な人だ」
その後、クーパーはウォリック上院議員に会いに行き、資料を突き付けて正式に立候補を断った。
議員はブラックバジェットを私用に使っていたのだった。
「公金で私服を肥やすのは問題ですね」
「その資料を手に入れるために君は法を破ったはずだ。ブラック・バジェットは機密事項だ」
「脅しか?」
「助言だよ。我々は会わなかったことにしよう」
議員は、見込み違いだった、と付け加えた。
変化
レッドは議員候補ではなくなったというクーパーを慰めた。
「上院は身勝手な連中の集まりさ。我々の方がよほど重要なことをしてる」
そして手に入れた機密事項を買い取るよう、取り出した。
「2億ドルで売ってやる」
レッドの買値は1億5千ドルだった。
クーパーはキルリストから救った事を告げ、1億5500万ドルに値切ると、レッドは礼もつけて即決した。
クーパーは改めて変化を認めた。
ウォリック上院議員には倫理観が曖昧だろうと見透かされていた。
グリーリーを手続きなしでキルリストに入れたり、エリザベスについては犯罪を犯しているというのに未だ伏せたままにしている。
「君と組んだことで私は変わったんだよ。チーム全員が始まった頃とは同じではない」
「私だって変わったさ。よりよくな。君の影響だろう。君はウォリックに従うと言っておいて、議員になってから撤回する事だって出来た。私の知る者達ならほとんどがそうするが。
君は違う。君にとって言葉は契りだからだ。そういうものは少ない」
「君を抹殺しなくてよかったと思えてくるな」
アン
レッドはオークションの合間にセントラルパークで、以前バードウッォッチングをしていた未亡人のアンと再会していた。
NYへは観劇の為、1週間滞在しているという。今日が最後の夜だった。
レッドはアンとの他愛もない会話に安らぎを覚えた。
一度はアンと別れたが、アンもレッドとの時間が楽しかったようで予定をキャンセルしてレッドを土産選びに誘った。
レッドも喜んでつきあうが、レッドの自由な時間は短くデンベが迎えに来てしまう。
すると名残惜しんだレッドはアンに予定を変えて、明日、ヒッチコックのレイトショーを一緒に見ないか、と誘う。
アンは考えて置く、といったがまんざらでもなさそうだった。
そして約束の夜、アンは劇場の前でレッドを待った。
だが、レッドはアンに電話をかけて「いけなくなった」と伝えていた。
もう取引きも終わり、行けるはずなのに。
その前にはクーパーから「君もたまには普通の暮らしをするといい」と言われたばかりだったのに。
アンは、予定は変えていない、家に帰ったの、とレッドに罪悪感を持たせないようウソをついた。
レッドは車からアンの姿を見ていた。
かんそう
今回もリズは登場なし。
レッドとクーパーは基本は相容れない立場なんだけど、軸の部分では身内にいる立場の人間よりも理解してくれている……、とお互い? の認識を深めた回でした。
なんか、こういうのがいいんだよね。
レッドを取り巻く事件と人間模様っていうか。まあそうなんだけど、お家騒動がちょっと行き過ぎっていうか。そもそも家族でもなかったっていうw
知らん家の家族がうざかった……。
レッドはやっぱり「普通」の人生を捨てて生きると決めていたんでしょうね。
でもアンと偶然出会って、少し久しぶりの「普通」ぽい時間に癒されて、つい多くを求めようとしてしまった。
でも、それが続けば続くほどアンを苦しめる可能性があるから、キッパリ断ち切った。
アンにとっては、ほぼ出会い事故みたいで可哀想だったけど。
しかも予定を変えて欲しいって頼んだのはレッドだもんねぇ。期待しちゃうよね。
なのにアンいい人過ぎ! まあそんなアンだからこそレッドも手を引く事を選んだんだろうけど。
アンが再登場した時はもしやリズが送り込んだ刺客か? とも構えたけど、フツーに出会っただけのようでした。
レッドが隠し立てせず「指名手配ナンバー1ですよ」って自己紹介したのが粋でした。
もちろんアンは冗談だと思うっていう。格好いいよね。そんな自己紹介したい!? されたい!
チームの人達がどんどん変わっていくというのは、視聴者も当然気づいていた事なので、今回クーパーの口からはっきり、自覚しているということが伝えられたのは、スッキリ感がありました。
ちゃんとシナリオと視聴者に温度差がないっていうのかな? エンタメだから何でも想定内なのはつまらないっていう評価にもつながってしまうんだろうけど、それでもあまりにも裏切られ過ぎてもなんかついていけなくなってしまうので、こうして「ここは押さえてるよ」みたいな確認ができるのもいいですね。
特にブラックリストって、もう想定外のことがありまくる前提でもあるから、合ってる! って思えるの珍しいんでw
今回は事件的にも国を跨いだ壮大なストーリーになっていて、でも決して派手なシーンがあるわけではないっていうのが、面白かったです。
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